長寿復活推進本部 寿命1位へ地道な実践を


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 県は健康づくりの施策を総合的に推進する「健康長寿おきなわ復活推進本部」を発足させた。2040年に平均寿命の都道府県順位を男女とも1位にする長期的な目標を設定し「日本一の長寿県復活」を目指す。これまでの福祉保健部中心から各部局を横断した組織に拡大しての取り組みを評価したい。

 県は2000年の平均寿命で沖縄県の男性が1位から全国26位に転落したことを受け、健康増進計画「健康おきなわ21」を策定し、健診の受診勧奨、食生活の改善などを県民に呼び掛けてきた。しかし10年の平均寿命で女性が1位から3位、男性が26位から30位に転落するなど歯止めが掛かっていない。
 「行政が(個人に)呼び掛ける従来のやり方では変わらない」との危機感から、今回、本部発足へと踏み込んだ。取り組みを行政だけにとどまらせないよう、県内各界各層を網羅した50~60団体で構成する「県民会議」も本年度中に設立する予定だ。幅広い県民運動を進める体制が近く整う。県民挙げて本気で取り組みたい。
 県が掲げた27年後の男女1位復活の目標を達成するには、10年の平均寿命で男女とも1位に輝いた長野県の取り組みが参考になるはずだ。かつては塩分の取り過ぎによる脳卒中での死者が全国最悪だった。30年ほど前からさまざまな健康づくりに取り組んできた。
 重要な役割を担ってきたのが保健師と連携する保健補導員の存在だ。住民の自主組織で、長野県内に11年7月現在で1万1259人が配置されている。減塩運動のほか、独居高齢者を訪問し、生活習慣病に関する研修会参加や健診を呼び掛けるなどの活動を進めてきた。県内でも南城市が健康づくり推進員を配置するなど複数の自治体で同様の取り組みがみられる。各市町村でも独自の取り組みを期待したい。長野県は10年時点で20歳以上の野菜摂取量が男女とも全国平均を上回り、1人当たりの老人医療費は1990年から2008年まで全国最低額だった。さまざまな取り組みで健康長寿を築き上げた。
 県内でも参考にできる地域がある。市区町村でみると、北中城村の女性は全国で最も平均寿命が長い。日頃から体を動かしている高齢者が多いようだ。県民一人一人の健康が地域全体の元気の源になる。粘り強い議論と実践で長寿復活を成し遂げよう。