自民選挙公約 「苦渋の決断」は通用しない


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 自民党本部と政府が米軍普天間飛行場の辺野古移設を容認するよう、同党の県選出・出身国会議員や県連に強要している。圧力に屈するか否か、県民は固唾(かたず)をのんで見守っている。

 それにしても、だ。有権者との約束を守る。こんな初歩的なことすら妨害する政党とはいったい何か。公約など反古(ほご)にしても構わないという姿勢を、これほど露骨に示して恥じない自民党本部には、政党を名乗る資格も民主主義を語る資格もない。
 民主党政権は公約をあっさり翻した。同党支持の県内での現状を見れば、その影響は明らかだ。「苦渋の決断」などという美辞麗句は通用しない、と知るべきだ。
 自民党県連と県関係国会議員には自覚してほしい。あなた方は歴史法廷に立っている。琉球・沖縄の歴史に照らして恥じない姿勢を、毅然(きぜん)として示してほしい。
 4月にあっさりと辺野古移設容認に転じた西銘恒三郎衆院議員は、昨年12月の衆院選で「県外移設を求める」と公約にはっきり書いた。島尻安伊子参院議員も「県民の総意である県外移設を求め、日米合意の無効を訴える」とうたった。
 公選制は、公約を媒介に議席を委託する行為だ。その公約を反古にすれば、議席の委託も無効になるのが論理的帰結であろう。あらためて言うが、西銘、島尻両議員は辞職するのが筋だ。
 国場、比嘉、宮崎3衆院議員も「県外移設と言ったのに一気に崩れた政権(民主党政権)にはもう任せておけない」(比嘉氏)などと述べ、県外移設を公約した。
 党本部の石破茂幹事長は「離党すべきだとの声も出ている」と述べたが、脅迫以外の何物でもない。菅義偉官房長官が「県外などとんでもない」と言い放つに至っては、沖縄の民意を侮蔑するに等しい。国場氏ら3氏は、沖縄の誇りにかけて公約を貫いてほしい。
 菅氏らに聞きたい。党本部は、県内の候補者が県外移設を掲げているのを十分知りながら公認とした。その時点で県内有権者と契約を交わしたに等しいのではないか。
 それを反古にすれば、間接的ながら党本部も公約違反なのだ。それを公然と表明して恥じないのは民主主義を否定する行為であろう。
 県連の県議も、無投票と回答保留を除く12人全員が県外(国外)移設を主張した。県民との約束の重みをかみしめてもらいたい。