海外識者声明 沖縄の正当性の証明だ もっと世界に訴えよう

 実に心強い応援だ。米国や欧州、豪州の識者・文化人29人が沖縄に関する声明を発表した。辺野古の新基地建設は「沖縄の軍事植民地状態を深化・拡大する取り決め」だとして明確に反対し、普天間飛行場の無条件返還を訴えた。

 声明は「沖縄の人々による、平和と尊厳、人権と環境保護のための非暴力のたたかいを支持する」と言い切る。人権という世界共通の価値観に基づく沖縄の主張が、国際標準に照らして正当であることの証明にほかならない。われわれはもっと自信を持っていい。堂々と国際社会に発信し、日米両政府の不当な圧力をはね返そう。

並ぶ「世界の良心」

 声明の呼び掛け人の顔ぶれを見ると驚く。「世界の知性・良心」と呼んでいい、国際的に声望の高い人たちばかりだからだ。
 言語学者でマサチューセッツ工科大(MIT)名誉教授のノーム・チョムスキー氏は高い見識で世界的に尊敬を集めている。北アイルランド紛争解決に尽くしたマイレッド・マグワイア氏は1976年度ノーベル平和賞受賞者だ。
 「敗北を抱きしめて」の著者ジョン・ダワー氏はピュリツァー賞受賞者である。映画監督オリバー・ストーン氏はアカデミー賞受賞者であり、マイケル・ムーア氏もそうだ。
 ダニエル・エルズバーグ氏は元米国防総省の軍事アナリストだ。ベトナム戦争で米国の歴代政権が国民をだましていたことに衝撃を受け、戦争の経緯を記した最高機密文書「ペンタゴン・ペーパーズ」を流し、命懸けで戦争の不当性を内部告発した人物である。こうした「良心」が沖縄の主張を支持する意義は大きい。
 声明はまた、その内容に意義がある。日米両政府に対する本質的な批判が並んでいるからだ。
 中でも、沖縄の現状を「軍事植民地状態」と言い切ったのが画期的だ。沖縄内部でなく米欧の識者が指摘しているのであり、世界標準に照らし植民地扱いに該当するということになる。
 普天間飛行場は沖縄戦のさなか、本土決戦に備え、住民の土地を米軍が勝手に占拠したものだ。声明はその事実も指摘し、「そもそも終戦後返還されるべきだった」と記す。占拠継続は、戦時の財産奪取を禁ずるハーグ陸戦条約に違反する。「返還に条件が付くことが本来許されない」という批判は、誠に本質的なのだ。
 確かに知事は辺野古移設を容認した。沖縄が追い込まれているように見えるが、実は逆だ。むしろ日米両政府が、世界の良識から追い詰められているのである。

独立宣言違反

 声明は、知事の決定を県民の72%が公約違反と見ている事実を伝え、「埋め立て承認は県民への裏切り」と言い切っている。昨年1月に全41首長が県内移設断念を求める建白書に署名したことも記す。世界に知ってもらいたい事実を的確に伝えてくれている。
 全人口の10分の1が参加する大集会を開いたこと、「人間の鎖」で基地を包囲したことなど、沖縄が続ける非暴力の抵抗も紹介した。国際社会の共感を得る上で効果は大きいに違いない。
 「沖縄は日本による17世紀初めの侵略に始まり、19世紀末の日本国への強制併合を経て、1944年には天皇制を守るための時間稼ぎの要塞(ようさい)にされた」とも記す。その上で「今日も基地から引き起こされる犯罪、騒音、環境汚染の被害を受け続けている」と述べ、「今回の合意は長年の沖縄の苦しみを恒久化させる」と指摘する。
 「沖縄の人々は、米国独立宣言が糾弾する『権力の乱用や強奪』に苦しめられ続けている。同宣言が指摘する『議会による同意なしの常備軍の駐留』にあてはまる」との指摘にも目を開かされた。
 米国の価値観に照らして容認できない人権侵害だという指摘は、米国では説得力を持つはずだ。日米両政府の不当性を国連などで訴え、さらに国際世論を動かそう。