是正要求拒否 竹富町の判断こそ正当だ

 八重山教科書問題で文部科学省が出した是正要求について、竹富町教育委員会は従わないことを確認した。教育現場の静穏を懸命に守ろうとする同町教委の姿勢を高く評価したい。

 是正要求の理由として文科省は、八重山採択地区協議会の答申と異なる教科書を竹富町が採択したことを挙げる。答申が最終決定として成り立っていたかのように強弁するが、本当にそう言えるのか。協議会は再協議の末に決裂した。協議が整わない段階で教科書を無償措置したのは竹富町ではなく石垣市や与那国町だ。両市町に是正を求めず竹富町に求めるのは筋が通らない。
 そもそも八重山教科書問題は協議会会長の玉津博克石垣市教育長が2011年に採択手順を独断で次々と変えたことから始まった。全国的に行われている教員による順位付けをまず廃止し、さらに規定に反し、教科書調査員を役員会の承認を得ずに独断で委嘱。その調査員が育鵬社の教科書を推薦しないと、今度は「推薦がなくても選定できる」と規約を変えた。教育委員から教員を外し、思惑通り育鵬社を選定して答申した。これが正当な手続きと言えるのか。
 答申を受けて石垣市・与那国町両教委は育鵬社を採択したが、選定経緯に疑問を抱いた竹富町教委は独自に教科書を研究して東京書籍を選んだ。
 八重山採択地区協議会は竹富町が同意しないまま、いったん多数決で答申したが、再協議は前述のように決裂した。その後、協議会とは別に3市町全ての教育委員が集まって開いた6時間の協議では東京書籍が採択されている。
 文科省が竹富町教委だけに是正要求を出したのは明らかに一方的だ。政府の意向に沿う教科書を採用しない自治体だけを攻撃しているとしか受け取れない。
 竹富町教委の採択した東京書籍の教科書は地区協議会の調査員が調査研究資料で最も高い評価をしている。文科省の検定を受けた教科書だ。どこに違法性があるというのか。無断で手続きを変更した玉津氏の一連の行為こそ問われるべきだ。
 是正要求に従わない場合、文科省は違法確認訴訟を提起する可能性がある。小さな自治体にとって裁判費用の捻出は大きな負担だ。力でねじ伏せるような政府の姿勢は教育行政にはなじまない。是正要求こそ取り下げるべきだ。