文科省の姿勢 不当な恫喝は許されない

 厳密な検証もないまま一方的に相手を非難する態度が、公人として許されるのか。

 竹富町教育委員会の慶田盛安三教育長を呼びつけた文部科学省の前川喜平初等中等教育局長は、同町教委の言い分に聞く耳を持たない姿勢に終始し、「どんな説明があっても違法なものは違法だ」と一方的に「違法」呼ばわりした。社会人にあるまじき態度である。
 学校現場を混乱させる不合理な要求を一方的に突き付け、従わなければ訴訟すると迫る文科省のやり方は恫喝(どうかつ)そのものだ。文科省は、今度は県の諸見里明教育長を呼びつけるという。県は、民主的でもなければ合理的でもない文科省の高圧的な要求を、毅然(きぜん)と退けてもらいたい。
 そもそも「違法」とは言いがかりに等しい。地方教育行政法は各市町村教委が教科書の採択権を持つと定める。竹富町教委の判断はこれに基づくから、適法だ。
 文科省は教科書無償措置法に違反していると主張するが、竹富町教委は国の「無償措置」を受けていないのだから、同法に違反していない。国による教科書の無償給付を受けずに自前で教科書を配布した行為について、政府は2011年11月、「無償措置法でも禁止されるものではない」と閣議決定し、つい先日も内閣法制局がその答弁は有効と述べたばかりだ。
 前政権では違法でないと閣議決定までしたのに、極めて保守的な人物が首相や文科相になった途端、手のひらを返して「違法だ」と強硬に主張する。法治国家らしからぬ振る舞いをしているのは、いったいどちらの方か。
 文科省は、極めて保守色の濃い育鵬社版に採択し直し、既に購入してある東京書籍版を副教材として使うよう求めた。れっきとした検定教科書があるのに、あえて別の教科書を強制するのは非合理的だ。新学期の途中での変更は学校現場に混乱をもたらすだけで、有害ですらある。とても理性的とは思えない。
 改正教科書無償措置法の成立を受け、竹富町教委は八重山採択地区協議会から離脱する方針だが、下村博文文科相は、今度は分割が望ましくないと撤回を迫る。
 学校の自主性確保の観点から採択地区の小規模化を打ち出した2009年の閣議決定にも矛盾する。保守色の濃い教科書を強制する意図としか思えない。このような横暴を見過ごす国会も国会だ。