米軍長期駐留 危うい軍事偏重と民意無視


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 民意の支持なき「同盟」は根無し草も同然であり、持続可能な関係には程遠い。日米両政府が25日発表した日米共同声明に対し、強い失望感と疑念を禁じ得ない。

 声明では、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設計画などに関して「早期移設および沖縄の基地の統合は、長期的に持続可能な米軍のプレゼンス(存在感)を確かなものにする」と明記した。日米が辺野古移設推進による在沖米軍の長期駐留を企図しているのは明白であり、断じて容認できない。
 日米両政府は昨年10月の日米安全保障協議委員会(2プラス2)の共同発表で、辺野古移設について「運用上、政治上、財政上および戦略上の懸念に対処し、普天間飛行場の継続的な使用を回避するため唯一の解決策」と強調した。
 危険性除去が最優先と言いながら、半年余で「長期的に持続可能な米軍のプレゼンス(存在感)」の確保に重心が移った。許し難い論理のすり替えだ。県民の多くは普天間の閉鎖・撤去、県外・国外移設による危険性除去を求めている。本島中南部の基地返還の代償として、中北部への新基地建設と基地固定化を望む県民合意はない。
 安倍晋三首相は日米首脳会談で、辺野古移設の前提として仲井真弘多知事が普天間の「5年以内の運用停止」を求めていることに言及した。だが米政府高官が5年以内の運用停止を度々否定する中、誰がその実現性を信用するだろうか。
かつて日本政府が普天間代替基地の「15年使用期限」に関する稲嶺恵一知事との約束を破り、裏切ったことも県民は忘れてはいない。
 戦後68年間、沖縄は軍事植民地状態だった。日本から「基地の自由使用」を保証された米軍は復帰後も540件余の米軍機事故、爆音、環境破壊、米兵犯罪などによって県民の人権を蹂躙(じゅうりん)してきた。共同声明は沖縄に対する軍事支配と人権侵害の継続宣言に等しい。
 辺野古移設反対の県民世論は7割前後で推移している。移設強行は、日米が普遍的価値と強調する自由と民主主義、基本的人権を自ら否定するに等しい愚行である。
 県民、国民の信頼、下支えなくして持続可能な日米関係の再生はおぼつかない。日米関係を劇的に改善し得る普天間の無条件返還こそ正義だ。軍事偏重の思考が色濃く、国民の声などお構いなしの非民主的な日米同盟は極めて危うい。