セクハラやじ 「ガラスの天井」破ろう


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 国会で品位に欠ける女性蔑視が横行している実態が、共同通信の衆参両院議員アンケート調査で明らかになった。

 東京都議や国会のセクハラやじ問題を受けた調査で、女性国会議員のうち12人が「女は黙ってろ」「離婚しただろう」などの暴言を浴びせかけられたという。良識の府が聞いてあきれるばかりだ。
 非常識な発言は女性の社会進出の遅れを反映し、未婚や子どもに恵まれない人々に対するあからさまな偏見といえるだろう。
 女性がいくら頑張っても活躍を阻む見えない障壁を「ガラスの天井」と言う。ガラスを打ち破るために、日本の社会に横たわる男性優位の価値観を取り払わなければならない。
 先進国の中でも日本は女性の社会進出が特に遅れている。2014年版男女共同参画白書によると、女性管理職の割合はフィリピン(47・6%)や米国(43・7%)を大きく下回る11・2%。
 都道府県別に見ると、公務員を含む管理職のうち女性の割合は、高知が21・8%でトップ、沖縄は13・4%で22位だ。別の統計によると、沖縄の県議会議員に占める女性の割合(12・5%)は13年7月現在、全国平均(8・7%)を上回っているが、市町村議員(6・5%)は全国平均(11・6%)の半分の水準にとどまっている。
 世界経済フォーラムが公表した13年の男女格差指数で日本は136カ国中105位と前年より四つ順位を下げた。
 数字が表すように、圧倒的な男性優位の格差社会がセクハラやじの背景にあるのではないか。
 欧米では、性別や国籍を問わず多様な役員の起用が競争力強化につながるとの考えから、女性の登用状況を重視する投資家が多いという。例えばオーストラリアは、男女平等に力を入れている企業を優遇するなど具体的な取り組みを進めている。
 「女性は子どもを産み育てるもの」という古い性別役割分業意識は、今や世界に通用しない。意識改革が求められる。
 安倍首相は20年までに指導的立場にいる女性の割合を3割以上引き上げることを目標にしている。掛け声倒れに終わらせてはならない。男女が共に仕事と家庭を両立できる共同参画型社会の実現に向けて、さまざまな施策の展開が必要だ。