乳児車内放置 死の危険を再認識したい

 車内に放置された乳児が死亡した。あってはならないことだ。社会全体で再発防止に努めたい。

 パチンコ店駐車場に止めた車内で生後5カ月の男児を熱中症で死亡させたとして、重過失致死の疑いで県警が豊見城市に住む40歳の母親を逮捕した。容疑は6月10日に那覇市内のパチンコ店の駐車場で、エンジンを停止した軽乗用車の後部座席に長男を放置して死なせた疑いだ。
 沖縄気象台によると、当日の那覇市の最高気温は29・8度。午前10時半ごろから約6時間半、置き去りにされた男児のことを思うと、胸が痛む。
 調べに対し母親は「パチンコをしていた。(死亡は)車内に放置したのが原因」と話しているという。パチンコ目的で車内に子どもが置き去りにされ、死亡した事件は全国で後を絶たない。夏場の沖縄で起きた今回の事件は多くの県民に衝撃を与えている。
 全日本遊技事業協同組合連合会によると、2009~13年度の5年間で車両に長時間放置されて4人の乳幼児が死亡している。
 警察庁は11年から業界に子連れの車の入場拒否などの対応を求めている。業界も各店で駐車場の見回りなどをしているが、中には窓をシートで覆ったり、チャイルドシートをタオルで隠したりする悪質な事例もあるという。
 同連合会は1時間に1回の駐車場巡回を会員に求めるなど対策を取ってきたが、またも事件は起きた。一義的には保護者に責任があることは言うまでもないが、業界側はその取り組みを徹底する契機として、教訓を生かしてほしい。
 日本自動車連盟(JAF)の実験によると、気温35度の晴天下では室温25度の車内はエアコン停止からわずか15分で熱中症指数が危険水準に達する。条件で異なるが、約1時間で車内温度は50度前後にもなる。この温度だと、乳幼児は10分程度で脱水症状や熱中症による死の危険にさらされるという。
 灼熱(しゃくねつ)の沖縄では危険性はさらに高まりかねない。今回は日陰に車は止められていたというが、危険性に大差ないことは明らかだ。
 JAFのアンケートでは車の利用者の約3割が子どもを車内に残して車を離れたことがあると回答している。たとえ短時間でも子どもを車内に残してはいけないという原則をこの機会に再認識したい。悲劇を繰り返してはならない。