<社説>ハルペリン氏来沖 沖縄の声を広く発信しよう

 1960年代後半、沖縄返還に関する米政府の交渉担当者を務めたモートン・ハルペリン氏が沖縄を訪れた。普天間飛行場の移設に伴う新基地建設予定地の名護市辺野古の海を視察し「美しい海」と表現した上で「ここに移設する以外に方法はないか、しっかり考えないといけない」と述べ、現行計画以外の選択肢を模索する必要性を説いた。元米政府高官の言葉を日米両政府は重く受け止めるべきだ。

 ハルペリン氏は講演で普天間移設について「沖縄返還を解決する以上に長い時間がかかっている。本当に異様なことだ」と疑問を投げ掛けた。その上で「新基地を建設することは政治的に困難であると、日本政府は米政府にしっかり言うべきだ。それを説明することに日本政府側が及び腰だ」と述べ、日本政府の消極姿勢を批判した。
 指摘の通り、日本政府は沖縄の基地縮小に「及び腰」の姿勢を貫いてきた。むしろ米側が沖縄からの撤退を検討しても、それを引き留める役割すら果たしてきたのだ。日本政府が自国の民の犠牲を黙認し、犠牲を継続する方向に作用してきたことは極めて悪質だ。
 72年10月に米国防総省が沖縄の海兵隊基地を米国内に統合する案を検討し、国務省も73年1月に「(普天間飛行場は)明らかに政治的負債だ」との見解を示していた。しかし73年7月、防衛庁が海兵隊駐留の継続を米側に要求していたことがオーストラリアの公文書で明らかになっている。
 95年の少女乱暴事件の直後、米政府は在沖米軍の撤退や大幅縮小を検討していた。しかし日本政府が在沖米軍を撤退させないよう米側に求めていたことが当時の駐日大使のウォルター・モンデール氏の証言で明らかになっている。一体誰のための政府なのだろうか。
 日本政府が「及び腰」であるとのハルペリン氏の発言を受け、シンポジウムに登壇した佐藤学沖縄国際大教授はこう指摘した。「米軍にとっては、沖縄が非常に便利で、要求が通る場所という形になっているのではないか」。もしそうであるとしたら沖縄の民意を踏みにじっている最大の当事者は日本政府だ。
 ハルペリン氏は「沖縄は米国の一般人の注意を引くような大きな声で、その見解を伝えることだ」とも主張した。世論調査で「移設作業は中止すべきだ」が8割を超える沖縄の声を広く発信したい。