<社説>与那国陸自配備 住民投票で是非を問え

 与那国町議会で議長選挙があり、採決に関わる議員の過半数を野党系が占める議席構成が確定した。この結果、陸上自衛隊の与那国島配備の是非を問う住民投票条例が可決される公算が大きくなった。

 自治体の主権者は言うまでもなくその自治体の住民だ。地域社会に大きな影響を与える事柄については、住民自らが決定すべきだ。
 すると住民は自らが地域社会に参画しており、その決定権の一端を握るという自覚を持つことができる。住民が、自身は地域社会に欠かせない一員だとの実感を持てれば、地域社会は確実に良い方向に変わるはずだ。その意味で与那国町議会にはぜひ住民投票を実施してもらいたい。
 それにしても異例づくめだった。7日の町議選では与野党が3対3の同数で、29日の議長選は、住民投票の採決を見越して双方が相手側の議員に投票するという異例の展開となった。得票は同数となり、地方自治法に基づいてくじ引きとなった。いったんは野党議員が議長に選出されたが当人が辞退し、2回目のくじで与党の糸数健一氏が選ばれ、就任を了承した。
 外間守吉町長は2009年、島の活性化を掲げて自衛隊配備を防衛省に要請した。年来、与那国島への自衛隊配備に強い意欲を持っていた同省は配備計画を進め、13年の外間町長再選を経てことし4月、駐屯地建設に着手している。
 だが住民の反対は根強く、11年には配備賛成を上回る数の反対の署名を町に提出、12年には町内有権者の約45%に当たる544人の署名を提出して住民投票実施を求めた。だが与党多数だった町議会は否決していた。民意を問う機会がようやく実現することになる。
 憲法92条は「地方自治の本旨」を定める。住民の意思に基づいて地方の行政を行う「住民自治」はその「本旨」達成に欠かせない。
 代議制民主主義は、民主主義を実行する上で効率的手段だが、選ばれた人が常に住民の意思を正当に反映するとは限らない。地域の将来を左右するほどの重要な事柄は、住民投票での決定が代議制の欠陥を補完する意義を持つ。意見を二分する事案で、住民が決定に納得するためには不可欠な過程なのだ。
 住民投票が正確に機能するには、事案についての十分な情報が住民に行き渡る必要がある。町は、配備をめぐって賛否の議論を深める機会を設けるべきだ。