<社説>オスプレイ2年 配備撤回が負担軽減だ


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 米軍垂直離着陸輸送機オスプレイの普天間飛行場配備から2年がたつ。安全性の懸念は消えず、負担軽減は一向に進んでいない。

 宜野湾市の目視調査では2012年10月の配備以降、オスプレイ飛行回数は最初の1年間の888回から2年目は1453回と1・64倍に増えた。配備数は12機から24機に倍増され、夜間飛行は常態化している。由々しき事態だ。
 夜間飛行は最近特に激化しており、9月上旬には3日連続で午前0時を超えて飛行した。午後10時~午前6時の飛行や地上活動を制限する日米間の騒音防止協定は、何の歯止めにもなっていない。むしろ「運用上必要なものに制限する」との取り決めが、米軍に夜間飛行の口実を与えている感さえある。日本政府は合意の見直しを強く迫るべきだ。
 配備前に両政府が合意した安全策も全く守られていない。住宅密集地上空の飛行を避け、プロペラを上向きにしたヘリモード飛行は米軍施設上空に限るとしていたが、合意違反は恒常化している。
 そもそも市街地に囲まれた米軍基地での運用自体に無理がある。だが合意違反の飛行事例を指摘した県に対し、政府が昨年回答した内容は「違反の確証は得られていない」と人ごとのようだった。
 訓練移転もめどが立たない。米軍がもともと本土で計画していた訓練とは別に、日米は配備に当たり沖縄の負担軽減の観点から訓練の本土分散を検討することで合意していた。ことし夏には政府内で佐賀への暫定移駐が浮上したが、米側の反対で即座に見送られている。訓練すら移転できない中、移駐が実現するとは到底思えない。
 開発段階から墜落事故が相次いだオスプレイは、その安全性が強く懸念されてきた。3月の嘉手納基地への緊急着陸の際にはエンジン部分から白煙が上がった。6月には訓練中に部品が落下した。過去の整備をめぐる大量の記録ミスや不適切な作業指示も明らかになっており、不安は増すばかりだ。
 オスプレイは東日本にも飛行するなど行動範囲を広げているが、県外派遣の間も残りの機体が沖縄を飛び交う。運用の拡大で、むしろ普天間の「拠点化」が進まないかと危惧する。
 低周波音による健康被害の恐れも指摘されている。負担の軽減は訓練移転や暫定移駐ではなく、オスプレイの配備撤回で初めて達成できることを忘れてはならない。