<社説>再生エネ接続中断 異常事態の解消を急げ


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 沖縄電力は9月30日、太陽光発電など再生可能エネルギーの電力の買い取り契約を中断したと発表した。8月7日までに申し込まれた発電事業者の出力の合計が31万キロワットを超え、沖縄本島の送電網の再生エネ受け入れ能力を上回ったためだ。

 接続可能量の上限超過は全国で初めてで、出力10キロワット未満の一般家庭用を含む全ての再生エネの新規接続ができなくなる異常事態となった。県内の再生エネ普及の取り組みに水を差す状況に陥ったのは極めて遺憾だ。
 沖縄は本土から電力を融通できない独立系統のため、送電網に限界が生じやすいとかねて指摘されていた。それにしても、沖電からの具体的な説明は乏しく、再生エネ受け入れ拡大に向けて最大限の措置が講じられたのか、甚だ疑問だと指摘せざるを得ない。
 沖電によると、県内の総発電量に占める再生エネの比率は2012年が2%だが、10年後の22年でもわずか3%を想定するにすぎない。これでは導入に後ろ向きと受け取られても仕方ないだろう。
 接続量の限界についても、新規申し込みへの回答を4月から保留していることが7月になって明らかになったように、情報公開と説明責任が十分になされたとは言い難い。今回の発表についても、関連事業者からは「あまりにも急だ」と対応を批判する声が上がる。
 沖電はこうした疑問や批判の声を真摯(しんし)に受け止めてもらいたい。受け入れ再開に向け、抜本的な対策を早急に示すべきだ。
 もちろん沖電だけが問題ではない。再生エネの受け入れについては、電力各社で中断する動きが急拡大している。再生エネでつくられた電気を電力会社が決められた価格で一定期間買い取ることを義務付けた固定価格買い取り制度は2012年7月に導入された。安定供給に支障が出ると判断された場合は接続を拒否できるとはいえ、わずか2年で制度の根幹に関わる危機的な状況を迎えたといっても過言ではない。
 そもそも安倍政権は4月に策定したエネルギー基本計画で再生エネの導入加速を掲げたばかりだ。政府の無計画ぶりは目に余る。とりわけ、手をこまねいていた経済産業省の責任は極めて重大だ。これは、安倍政権が原発再稼働に前のめりになっていることとも決して無縁ではない。再生エネ拡大がポーズでないならば、まずは原発に見切りをつけることが先決だ。