<社説>健康寿命 延ばすことで老後を豊かに

 健康なまま人生を終える。誰もがそんな最期を望む。介護を受けたり寝たきりになったりせずに日常生活を送ることができる期間を示す「健康寿命」をいかに延ばすかで、老後は変わってこよう。

 厚生労働省によると、2013年の健康寿命は男性71・19歳、女性74・21歳となり、前回10年時点に比べて男性が0・77歳、女性は0・59歳延びた。「国民の健康に対する意識が高まってきている」(厚労省)ことの表れである。
 しかし平均寿命との差は男性9・02歳、女性12・40歳ある。つまり9~12年は介護を受けたり寝たきりになったりしているということになる。多くの人が望む理想的な老後には程遠い状況である。
 介護を受けたり寝たきりになったりするからといって、その人の余生を否定するものではない。
 だが、体を自由に動かすことができ、介護を受ける必要なく日常生活を送ることができれば、老後はより豊かになろう。健康寿命をさらに延ばし、平均寿命との差を縮めたい。
 政府は5月に成立した健康医療戦略推進法に基づき、健康寿命を20年までに1歳以上延ばすなどの目標を掲げている。平均寿命との差を縮めることで、医療や介護などの支出を抑制し、社会保障制度を持続させる狙いもある。
 少子高齢化が進む中、健康で元気な高齢者が増えることは社会の大きな活力にもなろう。
 健康寿命を延ばすためには一人一人の意識改革が求められる。
 多くの人は加齢とともにさまざまな病気にかかるようになり、体力も落ちてくる。日頃から健康な生活習慣を身に付ける必要がある。食生活に気を配り、適度な運動を継続することを心掛けたい。定期健診受診も徹底したい。
 栗盛須雅子日本保健医療大教授によると、社会性を持つことで健康感や幸福感が高まり、健康長寿につながる可能性があるが、失業状態になれば引きこもりがちになり健康度は下がるという。
 家計が厳しくなると、趣味や運動どころではなくなり、外出を控えるようになり、地域との付き合いが希薄となってしまい、社会性が低下する。その結果、健康度が下がるというわけだ。
 政府は健康長寿対策の視点から、貧困対策にも目を向けるべきである。



琉球新報