<社説>知事選・普天間問題 主張の違いを見極めたい


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 県知事選まであと6日に迫った。最大の争点は、やはり米軍普天間飛行場の返還・移設問題である。

 琉球新報と沖縄テレビ放送が1、2日に行った世論調査では、候補者を選ぶ際に最も重視する項目で「普天間飛行場などの基地問題」との回答が46・3%で最も多かった。これまでになかった傾向だ。
 名護市辺野古への移設をめぐっては知事の埋め立て承認を受けた1月の名護市長選で、移設反対の現職が再選された。だが安倍政権はその2日後に基地設計などの受注業者を募る入札を公告し、民意を無視して移設作業を強行している。
 世論の8割が反対する中、8月には海底ボーリング調査に踏み切った。来年には埋め立ての本体工事に着手しようとしている。そうした中で迎える今回の知事選だ。
 民主主義の有り様、中央と地方の関係、日本の安全保障と米海兵隊の駐留形態。辺野古の現状は、この国が抱えるさまざまな矛盾を内包している。有権者の関心が高まるのは当然のことであろう。
 今回出馬した4候補の普天間問題に関する主張の違いは明確だ。
 無所属新人で元郵政民営化担当相の下地幹郎氏(53)は「知事選のジャッジが問題に終止符を打つとは考えられない」と自身の主張は控え、県民投票を実施してその判断に従うと訴える。
 無所属新人で元参院議員の喜納昌吉氏(66)は「埋め立て承認は速やかに取り消す」と普天間の無条件閉鎖を打ち出し、解決策として暫定的な嘉手納基地統合の可能性も示唆する。
 無所属新人で前那覇市長の翁長雄志氏(64)は辺野古移設反対を強調し「地元の理解を得られない移設案を実現することは不可能」と訴え、承認取り消し・撤回の姿勢も示す。
 無所属現職の仲井真弘多氏(75)は「政府が進める辺野古移設と県が求める5年以内の運用停止が最も現実的で具体的」と述べ、普天間の一日も早い危険性除去を訴える。
 政府は8月、移設に必要な岩礁破砕許可を県から得たが、期限は2017年3月だ。工事を進めるためには次期県政から引き続き許可を得る必要がある。現在県に申請中の工法変更なども同様だ。
 県民の審判が移設の成否を決めるといっても過言ではない。各候補の主張をしっかりと見極め、沖縄の明日を開く1票を投じたい。