官民協働 県内は低調 川北さん講演、全国の先進例紹介


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「協働」をテーマに現状と課題を報告する川北秀人さん(右)=9日、宜野湾市中央公民館

 【宜野湾】「第5回都道府県、主要市におけるNPOとの協働環境に関する調査報告会in沖縄」(NPO法人まちなか研究所わくわくなど主催)が9日、宜野湾市中央公民館で開かれ、自治体職員ら20人余りが参加した。

人と組織と地球のための国際研究所代表の川北秀人さんが、官と民が連携して公共サービスを担う「協働」について全国の先進的な事例を紹介しながら、現状と課題について報告した。
 沖縄の現状について「協働を閉鎖的に考え過ぎている」と厳しく指摘し、今後の取り組みに期待を込めた。
 川北さんは「協働は対等であることが重要。協議の段階までは官民対等だが、業務になると上下関係が生まれる」と指摘した。
 日本で初めて「国連公共サービス賞」を獲得し、先進的な取り組みを続ける事例として佐賀県を紹介した。同県は公共サービスに対する県民の満足度を高めるため「協働化テスト」を実施。県の事業を毎年公開し、県民や民間団体が連携して取り組めそうな事業に参加する仕組みが整っているという。
 川北さんは「4千億円、2400件の事業内容が全て市民に公開されている。運営がうまくいっているのは市民団体がきちんと勉強しているからだ」と述べた。
 2003年から運用が始まった指定管理者制度に対しては「民間への安受けで経費節減することが目的ではない。多様化するニーズに対応し、住民に喜んでもらえないと意味がない」と述べ、「議員、市民がしっかり中身を監視していく必要がある」と話した。
 第5回の調査報告書は全国255自治体が公開している情報を基に独自の評価指標に沿って5段階で点数を付け、各自治体に報告して結果を確定した。
 沖縄では県、那覇、浦添、沖縄、うるま、宜野湾、糸満の各自治体についての報告があった。那覇市の評価が最も高かったが、どの自治体も全体的に0点や1点が多く、低調な評価にとどまった。