<社説>「馬乗り」国会答弁 国交相自ら確かめるべきだ

 海上保安庁の誠実さのない、いい加減な説明が太田昭宏国土交通相に恥をかかせたと言っていい。

 名護市辺野古の新基地建設に反対する市民の抗議船に乗っていた映画監督が海上保安官に馬乗りにされた問題で、太田国交相は「安全確保」の観点を強調した。
 しかし、本紙31日付31面の「海保馬乗り」の写真を見てほしい。「安全確保」との言い分がうそだと一目で分かる。3人が乗る小型船(定員6人)に海上保安官4人が乗り込んだため、船の側面は海面すれすれまで傾く。「安全確保」どころか、逆に危険だ。
 こんな状況で海上保安官が映画監督に馬乗りになり、カメラを奪おうとした。これが「安全確保」なのか。
 人目につきにくい海上で新基地建設に反対する市民を相手に、市民の安全を守るはずの海保がどう振る舞うのか。太田国交相は現場を訪れ、市民の声を聴いた方がいい。そして即刻、海保の過剰警備をやめさせてもらいたい。
 二転三転する海保の説明は、その場しのぎで自らの行為を誠実に説明する姿勢に欠ける。
 映画監督が馬乗りにされた写真が本紙に掲載されると、船体後部へ通り抜けるためと説明した。その説明と矛盾する連続写真が載ると、映画監督が立ったまま不安定な状態で撮影したので「体全体を使って転落しないようにした」と説明を変えた。
 海面すれすれまで船が傾き、危険この上ない状況を捉えた写真を、海保は太田国交相にどう答弁するよう説明するのか。
 昨年11月の県知事選では翁長雄志氏が仲井真弘多氏に10万票の大差をつけ、新基地建設に反対する沖縄の民意を明確に示した。海保の過剰警備、力ずくで市民の抗議をねじ伏せようとする姿勢は、民意に反して新基地建設を強行する安倍政権の意を受けたものだ。
 しかし、海保の暴力的とも言える過剰警備は増長にもほどがある。安倍政権と連立を組む公明党は「平和の党」を掲げるのなら、海保の過剰警備を見過ごしてはならない。連立で衆院の3分の2を占める巨大与党のブレーキ役を自認するなら、いま真骨頂が問われている。
 その公明党から入閣する太田国交相は、官僚の説明をうのみにするのではなく、自らの目で辺野古の現実を確かめるべきだ。



琉球新報