<社説>国の岩礁破砕 県は許可を取り消すべきだ


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 県は沖縄防衛局のサンゴ破壊に対して、作業の一時停止と原状回復を命じることができるかを検討している。行政として手続きを踏まなければならないことは理解できる。だが、対応が遅過ぎないか。

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に伴う新基地建設海域の岩礁破砕で、10~45トンもの巨大なトンブロック投下は許可していないというのが県の立場である。
 とすれば、1月27日のトンブロック投下を受けて直ちに県は防衛局に対し、海上作業停止を命じるべきだった。
 加えて、サンゴが防衛局の投下したトンブロックに押しつぶされていることは今月9日までに確認され、10日には新聞も報じている。県独自で潜水調査を即座に実施するぐらいの姿勢があっていい。
 防衛局はアンカー設置について「あらためて協議する必要はない」としている。だが、巨大なコンクリートの塊をアンカーだとするのは無理がある。ほ乳類のクジラを魚類のイワシだと言い張っているようなものである。
 県の漁業調整規則に基づく岩礁破砕取り扱い方針は、船舶のアンカーについて「許可は不要」とする。だが、トンブロックと同程度の重量がある消波ブロックは「許可が必要」と定める。
 県は「これほど大きなコンクリートブロックを投入するとは聞いていない」とし、トンブロックは「許可は不要」には当たらないとする。
 都合よく解釈する防衛局の主張よりも、規則に基づく県の主張に理がある。
 防衛局の「岩礁破砕等の許可申請」に対する県の許可は「本申請外の行為をし、または付した条件に違反した場合は、許可を取り消すことがある」との条件付きである。アンカーではないトンブロック投下は明らかに「申請外の行為」に当たる。
 条件の中には「その他公益上の事由等により、別途指示する場合は、その指示に従うこと」とも明記する。作業海域は県の自然環境保全指針でも厳正な保護が求められる最高レベル「ランク1」に位置付けられており、サンゴ破壊は豊かな自然を満喫する公益に反する。
 翁長知事は「場所についても、サンゴを傷つけていることも含め、大変逸脱している」と述べている。逸脱行為である以上、岩礁破砕許可を速やかに取り消すべきだ。