<社説>米市議会決議 新基地ノーの訴え結実した


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 新基地を拒否する県民の訴えが実を結んだ決議だ。沖縄の声は確実に世界へ広がっている。自信を持って基地建設を強行する日米両政府にノーを突き付けよう。

 米バークレー市議会が、名護市辺野古への新基地建設に反対し、県民と連帯する決議案を全会一致で可決した。辺野古移設に反対する決議は米地方議会で初めてだ。
 決議に対し、稲嶺進名護市長は「勇気をもらった」とコメントした。多くの県民が同じ思いを抱いたであろう。沖縄の声に正面から向き合った同市議会の判断を高く評価したい。
 決議は、県知事選で辺野古移設反対を訴えた翁長雄志知事が当選したことや、本紙世論調査で80・2%の県民が移設に反対したことを明記した。沖縄の民意を尊重する議会意思の表れであろう。
 何よりも画期的なのは、新基地問題は米国も当事者であることを明確に指摘した点にある。米国務省や米連邦議会に対し、米国の法律と手続きに従って米文化財保護法の順守や環境の再調査、公聴会の開催など具体的対応を求めた。
 普天間飛行場返還・移設問題に対し、米政府は「日本の国内問題」という態度に終始してきた。そのような米政府の居直りを許さないという強い決意を今回の決議に読むことができる。米国内法や環境規定を本国外の基地に適用しない二重基準へのいさめでもある。
 翁長知事は辺野古沖の埋め立て承認の取り消しを表明した会見で、新基地反対を米国で訴えれば「国内問題だ」「日本政府に言いなさい」と返され、日本政府に訴えれば「米国が嫌だと言っている」となる、と述べた。知事同様、県民も日米両政府の態度にいら立ちを募らせてきた。
 市議会決議はこのような無責任の連鎖にくさびを打つものだ。米本国外にある米軍基地や新基地計画による環境破壊と人権侵害を直視せよと米政府と連邦議会に迫ったのである。米政府はもちろん、日本政府も決議を重く受け止めるべきだ。
 国内でも東京都の武蔵野市議会が新基地建設を強行しないよう政府に求める意見書を可決した。同様の意見書可決は5例目だ。沖縄の声に呼応する県外の地方議会の動きが徐々に広がっている。
 良識ある国内外の議会は、沖縄の民意を無視する新基地建設強行の暴挙を見逃さない。日米両政府はそのことを自覚すべきだ。