子牛の取引価格が下落 県内5月の競り値、採算ラインの50万円割れ 背景に飼料高騰か


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子牛の競りに参加する肥育農家と出品する繁殖農家=17日、糸満市の南部家畜市場

沖縄県内の和牛子牛価格が下落している。これまで60~70万円台で推移していたが、5月に行われた競りの取引価格は平均で50万円に届かなかった。飼料価格の高騰で肥育費用が膨れ上がったことなどで、子牛を買い入れる県外の肥育農家が高値での取引を避けていることが背景にあるとみられる。

JAおきなわによると、5月の競りの平均価格(速報値)は47万732円で、前月比マイナス4万1110円、前年同期比マイナス12万5710円と大幅に下落した。2019年4月~2023年5月の実績のうち、コロナ禍の20年5月の46万9720円に次ぎ2番目に低い取引価格だった。

子牛は生まれてから約8カ月で競りに出される。採算を考慮すると、子牛を生産する繁殖農家にとっての最低価格は約50~60万円。現在取り引きされる多くの子牛は、繁殖農家が赤字を抱えながら投げ売りしているのが実態だ。

取引価格の下落傾向は、飼料価格の高騰が始まった2022年から始まった。農畜産業振興機構によると今年3月時点の配合飼料価格は前年同期比で約2割ほど値上がりしてる。

5月の子牛の取引頭数は2101頭で、前年同月比82頭減。価格は下落しているものの、取引頭数実績は3.7%減にとどまる。県内の繁殖農家は値崩れしても、比較的価格が高値の子牛として販売せざるを得ないという。

例年夏場にかけて、子牛の食欲が落ち、夏ばてのリスクが高まるため、価格は落ちる傾向にある。例年通りなら6月以降も価格は下がる見通し。

JAおきなわの前田典男理事長は「厳しい状況だが、飼料価格を下げることはできない。一時的ではなく、状況に合った援助を国や県に要請するしかない」と述べた。
(福田修平)