<南風>琉球フレグランス


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 パリからコラムをお届けします。テロ事件で衆目を集める当地ですが、きょうはフランスらしく、香りについて少し触れたいと思います。

 香水を意味する言葉にパフュームとフレグランスがあります。一般に香水そのものを指す場合は「パフューム」、香水を含め香りを特徴とする製品類は「フレグランス」と呼ばれています。当社は「沖縄の香り」をテーマに、これまで月桃(げっとう)(サンニン)を活用した線香や柑橘(かんきつ)系アロマオイル・香水など、いくつかのフレグランスを商品化してきました。今年はカーブチー由来のオーデコロンです。
 自社で化粧品の製造免許を取得し、念願の「メイド・イン・オキナワ」の香水を開発しました。本品誕生に合わせ「琉球フレグランス」という専用ホームページも立ち上げました。各種フレグランス情報のほか、柑橘を中心に沖縄の芳香素材についても広く紹介していきたいと考えています。
 さて今回のフランス訪問ですが、新作香水のレシピ決定が目的です。コロンに続きカーブチー由来のルームフレグランス(屋内用香水)の開発に取り組んでいるところです。香水作りには調香師(パフューマー)と呼ばれる専門家との連携が不可欠。僕も調香師と共にアトリエに入り香りを確認します。膨大な種類の香料からベスト処方を見いだすまで、作業が続きます。
 パリ市内を歩くと、あちこちで肩から自動小銃を下げた兵士を見かけます。「すべての武器を楽器に」というフレーズがありましたが、今の僕の心境としては「すべての武器を香水に」です。心地よい香りは人々を幸せな気分にしてくれます。憎しみが消える魔法の香り…とは言いませんが、せめて優しく平和な心持ちになれるようなルームフレグランスができるといいなと思います。
 完成までもう一息です。
(金城幸隆、オキネシア代表取締役社長)