<南風>子供に食卓囲む喜びを

 小雨が降る寒い土曜日の午後、ももやま子ども食堂には明るい笑い声が溢(あふ)れていた。地域の小学生が5、6人で時々来るようになった。常連のきょうだいもいた。子どもたちの顔を見ると嬉(うれ)しくなる。

 そんな子どもたちの一人、Kくんとのある日の会話。「お母さんは元気ねえ。妹のHちゃんは一緒じゃないの」と私。「知らな~い、おうちにいるはず」とKくん。私は、急いでHちゃんの家へ行った。Hちゃんは5歳だ。「こんにちはー」。ドアをノックしても返事がない。カギはあいている。「入ってもいいですか」と声をかけながら中に入った。Hちゃんは奥の台所に独りぽつんと座っていた。
 「どうしたの、ももやまにごはんを食べに行こうか。お兄ちゃんたちもいるよ」「お母さんに電話しておくからね。一緒に行こうか」。Hちゃんはうなずく。返事をする気力もない様子だ。でも「今日のごはん、なんねー」と、小さな声で聞いた。「Hちゃんの大好きなポークとたまご焼きと、おそばだよ」。Hちゃんはにっこりと笑顔になった。私は、安堵(あんど)した。
 私たちの近くには支援が必要な子どもたちがいる。ももやま子ども食堂は、子どもが心の負担を感じることのないよう、食の提供と居場所づくりを心がけていいる。子どもたちに、一緒に料理をし、食卓を囲む喜びを知ってほしい。また、ここは関心のある大人たちが集い、情報を共有する場にもなっている。
 一部には「親を甘やかしている」と言う人もいるが、親の生活の立て直しを支援しなければ、子どもを守ることはできない。昔ながらの隣近所の助け合いが少なくなっている気がする。孤立する家庭が生まれている中、働く親の気持ちに寄り添い、よりよい子育てをともに考え、できることから少しずつ、個別の支援をしていきたい。
(比嘉道子、NPO法人ももやま子ども食堂理事長)



琉球新報