<南風>沖縄、福島現職2閣僚の落選


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 遠くから笛の調べに合わせ鉦(かね)や太鼓の音が聞こえ、その拍子に合わせて民謡をうたう声が聞こえてきます。盆踊りのようです。福島県内の盆踊りのほとんどが旧盆に行なわれますが、例外もあるようです。

 街も落ち着きを取り戻した感がありますが、7月10日の参議院議員選挙は、ここ福島県で激戦が繰り広げられました。今回から1票の格差を是正するため、自民党現職、公明党推薦候補である現職法務大臣の岩城光英氏と民進党現職で野党共闘候補者の増子輝彦氏、諸派の3人が1議席を争いました。現職の2候補者は共に復興の加速化を第一に掲げながら、岩城氏が経済中心の政策を取る一方、増子氏は福祉と安全保障関連法の廃止を訴えました。
 原発事故後、県民は当時の民主党政権にノーを突き付けた形で、2013年の参院選、14年の衆院選は自民党候補が圧勝しました。今回の選挙では、中盤以降、自公両党は安倍晋三首相ら有力議員を福島に送り、現職大臣を当選させるためになりふり構わぬ選挙戦を繰り広げてきました。
 開票でも予断を許さない状況が続きましたが、僅差で増子氏が当選を果たしました。実現困難と言われた野党が共闘できたことで民意が達成された瞬間でした。しかし、当選した増子氏が得票率50・5%に対し、次点の岩城氏は47・24%と僅差。まだまだ、福島県は揺れています。原発事故の最も影響を受けた浜通り地方は、ほとんどが自民を推しています。
 沖縄で県議選の勢いそのままに、10万票以上の大差をつけて現職沖縄相に勝利した「オール沖縄」に学び、目先の復興事業という経済政策に左右されることのない判断力を持つ県民として行動が取れるよう、歩まねばなりません。この民意を全国展開できるよう、沖縄、福島の両県民が力を合わせたいところです。
(木村真三、放射線衛生学者)