<南風>「海洋産業特別展」が示す先進性


社会
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 今年の沖縄の産業まつりは10月21~23日の3日間、開催される。産業まつりは今年で40回目の節目を迎えるが、その開催記念として沖縄の海をテーマにした「海洋産業特別展」を実施する。海は沖縄の象徴であり、信仰の対象である。その沖縄の海を舞台に、今、未来の生活や産業経済に大きな貢献をするであろう研究が進んでいる。

 特別展は、沖縄で海洋産業の研究や事業に従事する研究機関、大学、企業が実行委員会を立ち上げて、自ら企画し進めている。こうした組織が一堂に会し、個々の研究や事業を県民に紹介するのは今回が初めてである。

 展示は海底資源、船舶、海洋ロボット、海洋生物、評価分析、海洋エネルギー、ダイビングの七つのブースに分かれる。

 海底資源は調査・探査の方法、熱水鉱床の状況、調査船模型展示、船舶はEV船活用の観光クルーズや小型ボート、海洋ロボットは大学、高専、職能大で開発したロボット、海底探査機関の海底ロボット、海洋生物は海藻養殖、サンゴ研究、評価分析は海洋資源の環境調査、海洋エネルギーは波力・潮力利用の発電、海洋温度差発電、海洋深層水利用の養殖、ダイビングはVRダイビング体験、潜水病治療―などの紹介・実演・体験をする。

 将来の海洋産業に携わる人材育成も特別展の目的の一つである。昨年、沖縄で海洋ロボットコンテスト全国大会が開催されたが、県内の高等教育機関が2部門で優勝した。環境が整えば、沖縄はこの分野の先進県になる可能性が高い。

 今回紹介される研究や調査は、世界でも先進的なテーマが多い。沖縄の小中高生には、ぜひともこうした研究内容を知ってほしいと思っている。それにより、沖縄から海洋産業の研究者を多く輩出することにつながれば幸甚である。
(桑江修、沖縄県工業連合会専務理事)