<南風>19年南九州総体は発展の試金石


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 2010年の美ら島インターハイから7年。全国高校総体は単独開催を沖縄県で終え、全国を12ブロックに分けて競技が実施されている。2020東京オリンピック決定でスポーツ界が盛り上がる中、2年後の19年に南九州全国高校総体が沖縄・鹿児島・宮崎・熊本の4県で催される。

 本県では空手道、相撲、なぎなた、陸上、サッカー、ウェイトリフティング、水球、飛込の8競技があり、地元から未来のオリンピック選手の誕生と全国制覇の期待がかかる。この総体を県内の高校生に誇りと希望を与える大会にしなければならないと考えている。

 地元開催まであと2年余り、組織体制、大会運営、選手強化など課題は山積している。例えば、有望な中学生の県外流失という問題がある。この総体で主役となるのが現中学3年生だが、昨年は野球を除く83人の中学生が県外に流出した。有望視されていただけに県内スポーツ界にとって痛手となり、今後、このような流れが続けば全国高校総体での上位入賞者の減少や国民体育大会の成績に影響することは間違いない。

 「地元で優秀な選手を育てることは、優秀な次代の指導者を育てる」という指導者養成の観点からも大きな問題がある。現在、各競技団体で県内をリードする代表監督を務めているのは約30年前の海邦国体で活躍した選手たちである。彼らも年齢的に50代となり後継者育成が大きな課題だ。

 全国のスポーツ強豪県は、「スポーツの力」で地域活性化を図り、五輪選手の育成・支援に必死だ。南九州総体、東京五輪までの3年余は、県内スポーツ界を飛躍させるチャンスとして生かさねばならない。未来ある子供たちの活躍が新聞に掲載されることは、県民に夢と希望を与える。南九州総体は、本県スポーツ界の新たな発展に向けた試金石になると考えている。

(田村正人、県空手道連盟強化委員長 県立前原高校教諭)