<南風>沖縄独自の童話・お話大会


社会
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 沖縄県PTA連合会の大きな行事に「小中学校童話・お話・意見発表大会」があります。今年で67回を迎えました。終戦間もない頃の沖縄の子どもたちは方言ばかり使っていたので、標準語が使えず、当然、人前で話すことが苦手でした。

 そこで、沖縄の子どもたちの現状を憂えた、当時の沖縄教職員会長の屋良朝苗先生(初代沖縄県知事)を頂点とする沖縄教職員会の指導の下で、学校の先生方が一丸となって沖縄の子どもたちに「語彙力をつけること」「発表力をつけること」「表現力を高めること」等を目標として、1949(昭和24)年に「童話・お話・弁論大会」が設立されました。この行事は沖縄県だけのもので他府県にはありません。したがって、九州大会や全国大会というものもありません。沖縄県独自の素晴らしい大会だと自負しています。

 ところが、当時の学校は予算がなく副賞を出すことができなかったので、学校後援会(現在のPTAの前身)にお願いして、副賞を出してもらったという経緯があります。そして大きな成果とともに、今や66年の歴史を重ねています。

 そして、離島地区の子どもたちにも素晴らしい発表を聞いてもらいたいとの趣旨で、第70回大会を宮古地区で開催します。今後は5年に1度は離島地区で開催していくことになります。 さて、いつ頃から今のような「PTA主催行事」になったのでしょう。今から約30年前に、PTA役員の方々から「私たちは褒美を出すだけで行事の主催者にはなれないのか?」との意見が出され、校長会から「PTA行事にして、保護者側で運営を統括してもらい、教師側は指導と審査の責任を果たしてもらいたい」という助言がありました。

 このスタイルが全県的に定着し、児童生徒の感性と表現力を育む大会が毎年、盛り上がっています。
(石川謙、県PTA連合会会長)