<南風>「関わりしろ」のある久米島


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 最近、久米島町には若者が増えている。しかも、仕事をするために県外から来る若者である。理由は「地域おこし協力隊」。現在、県内で活動する地域おこし協力隊の約半数に当たる15人が久米島町にいる。

 地域おこし協力隊は、都市から地方へ住民票を移動し、生活拠点を移した人に対して、地方公共団体が地域協力活動を委嘱し、最長3年間、その活動にかかる経費を総務省が特別交付税で支援する制度である。

 久米島町では、高校・中学の教育関係、移住定住促進、観光協会に配置している。ほとんどが20代~30代で、なかには字の行事や駅伝などで活躍し、業務外での地域活性化に一役買っている人もいる。

 全国的にみると、自治体と隊員のニーズがかみ合わず、うまくいかないケースもあると聞く。しかし久米島の場合、隊員の募集は目的重視型。「久米島に住みたい人」ではなく、「この仕事をしたい人」を募集したところ、各分野での経験や知識が豊富な人材がそろい、事業の大きな推進力になっている。

 人口減少が続く今、特に離島や地方にとっては、移住定住者をどう増やすかは重要課題。さまざまな補助制度がある自治体も多い。

 でも、若い世代の移住動向を見ると、自身が関わる余地「関わりしろ」のある地域を探している人が多いように思う。私もそうだったけれど、初めから定住ありきで引っ越すのはハードルが高い。だからどんな補助金よりも、「わが町はこういう取り組みをしています。ちょっと来て働いてみませんか?」と言ってもらうほうが、興味が湧きやすい。

 活躍の場を求める若者と、取り組みたいことがあるが、人材が足りない地域―。うまくマッチングされれば、地域の活性化につながり、将来的には移住定住の増にもつながるかもしれない。
(山城ゆい、久米島高校魅力化事業嘱託員)