<南風>沖縄の犬猫を救いたい


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 左右に畑が広がるうるま市石川の農道を進むとその施設はある。行き場を失ったおよそ70匹の犬と120匹の猫を保護飼育し、里親探しの見学会を開催しているアニマルガーデンだ。犬・猫好きにとってはたまらない空間である一方、虐待・遺棄などの現実を突き付けられる場所でもある。

 ガーデンという名にふさわしく、このたび敷地内のゴミや雑草を一掃し、土を掘り起こして野菜畑を作り、駐車場の周りに草木を植えた。作業の中心を担ったのが、沖縄科学技術大学院大学(OIST)の教職員・学生とその家族を含む計三十数人から成る「SOCKs」クラブで、私もその一員だ。

 「沖縄の地域猫を救え」という意味の英語の頭文字をとった同クラブでは、TNR活動も行っている。猫は繁殖力が高く、わずか16カ月で1匹から36匹に増える。殺処分・虐待・轢(れき)死される野良猫の頭数を少しでも減らそうと、人道的な捕獲器を使って捕獲し、獣医師による不妊手術を施し、経過観測後に元の生活場所に戻す活動である。これまた英語の頭文字をとって名付けられたTNRは、全国各地で展開されている。

 OISTキャンパスから始まったわれわれの試みは、地元恩納村の全区長からもご支持をいただき、近隣施設や要請のあった区域で実施してきた。

 沖縄は犬猫の殺処分数が全国ワースト5位に入ると聞く。譲渡数は増えているものの、収容数に追い付いていない。縁あって迎え入れた猫には不妊手術を施す、犬はつなぎっ放しにせず散歩を日課とする、そしてペットは最期まで面倒をみるなど、飼い主には大きな責任が伴う。

 アニマルガーデンでは小屋の修理や餌代のための寄付はもとより、犬猫の世話をしてくれるボランティアを求めている。関心がある方はぜひ連絡してほしい。
(名取薫、沖縄科学技術大学院大学広報メディアセクションリーダー)