<南風>座間味さんがもたらした転機


社会
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 「きたー!」。ロシアから届いた紙に描かれた片足なぞり書きにわが社は大爆笑。やれやれ、やっと足のサイズを座間味村ダイビング協会の又吉英夫氏に送ることができました。2000年沖縄サミットプレイベント「G8高校生サミット」のエピソードです。

 G7各国と日本(沖縄・福岡・宮崎)から各3人の高校生が集い、平和・環境・経済をテーマに議論し、NHKで全国放送するという大イベントは、NHKエンタープライズ(NEP)スタッフのサポートのおかげで、アドバイザーの岡本行夫氏、黒田玲子氏、竹中平蔵氏が絶賛するほど素晴らしいものでした。

 受け入れを担当したわが社は、首里城管理財団や第一公設市場組合のご協力を仰ぎ、平和祈念資料館では中山良彦氏、サンゴの海の自然については琉大の土屋誠教授にご講演を願い、海外医療の経験豊富な西平守樹ドクターに同行してもらうなど万全の布陣で、沖縄の歴史・平和・自然等の生きた学びに心を砕きました。

 沖縄ノムラを卒業後、ビジネスネーム「開」を名乗り、ソフト事業へ転換した無名の私がこの仕事に従事できたのは、NEP役員の故座間味朝雄氏のおかげでした。沖縄放送局長時代に平和祈念資料館の検討委員に就任いただいたご縁から、「高校生サミット」「小・中学生サミット」「国際シンポジウム」を担当するNHK各社をつないでくれたのです。これら三つのプレイベントは私に人生の転機をもたらしてくれました。

 律儀で面倒見の良い座間味氏は、来沖される度に関係者懇親会を催し、それが一代前の局長だった比嘉良雄との再婚のきっかけとなりました。キューピッドの人徳にあやかり、3カ月持つか3年持つかと巷(ちまた)でうわさされたわが夫婦も17周年を迎えます。もう大丈夫そうです。感謝とともにご冥福をお祈りします。
(開(比嘉)梨香、カルティベイト社長 沖縄海邦銀行社外取締役 元沖縄県教育委員長)