<南風>知らなかった! 奨学給付金


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 3月上旬に発表された「沖縄県高校生調査」の結果概要を紙面で見て、ひとり親家庭の困窮の深刻さを再確認すると同時に全く知らない支援制度を発見し、心底驚いた。それは「高校生等奨学給付金」という制度だ。ちなみに年収910万円未満の世帯が対象で授業料部分が無償となる「高等学校等就学支援金」とは別物だ。

 県教育委員会のホームページで調べたところ2014年度から始まった国の制度で、保護者の市町村民税所得割額が非課税の世帯または生活保護受給世帯が対象だ。非課税世帯の場合、各年に一度、6万円ほど(第2子以降は要件があるが、約13万円)が支給される。

 うちの娘は15年度に県立高校に入学した。入学に際し「高等学校等就学支援金」の申請手続きをするよう「くどいほど」説明を受けたし、見逃すことなどできないくらい目立つ色の申請書類入り封筒を受け取った。しかし、この似たような名称の「高校生等奨学給付金」の説明書類を見た記憶がない。

 ひとり親の場合、寡婦(夫)控除が適用される離別や死別世帯では年収が約204万円以下だと非課税世帯になる。沖縄県の母子世帯の平均就労収入は155万円なので支給対象者は多いはずだ。高校生調査では困窮層の32%がこの制度を利用しているが、20%が分からないと答えている。高校によって周知方法にばらつきがあるのか、対象者だけに利用を促しているのかは不明だが、公立高校でも授業料以外に年間数十万円が必要になることを考えると、要件に合う世帯が必ず受給できるような形にしてほしいと願う。

 それにしても。ボランティアとはいえ、ひとり親支援に携わっているのにもかかわらず、高校生向けの就学援助的な支援制度に全く気付けなかったことが申し訳なくて仕方がない。
(秋吉晴子、しんぐるまざあず・ふぉーらむ沖縄代表)