<南風>住民税非課税世帯への支援の間で


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 就学援助をはじめ、この国の子どもの貧困対策における現金給付や奨学金などの支援対象は主に「住民税非課税」世帯です。前回までに取り上げた「高校生等奨学金」もそうですし、日本学生支援機構の「給付型奨学金」も児童養護施設退所者と住民税非課税世帯が対象です。ひとり親世帯も収入が低いため、その多くが住民税非課税に該当するのですが、ただ婚姻歴のないひとり親(非婚)については扱いが異なります。

 住民税(均等割・所得割)が非課税であるには地方税法で次のように定められています。(1)生活保護を受給している(2)未成年者、障がい者、寡婦(寡夫)で前年所得が125万円以下(3)計算式が自治体によって少し異なり、那覇市の場合、前年の所得が32万円×家族数(本人と扶養親族)+18・9万円以下。ここでいう所得とは給与所得者の場合、給与収入から給与所得控除額(収入に応じた一定の金額)を差し引いた額になります。

 一方、所得税法では「寡婦」を、配偶者と死別、離婚後婚姻していない人で、扶養親族や子がいる人と定義しています。このため、婚姻歴のないひとり親(非婚)は「寡婦」に該当せず(2)の基準ではなく、(3)の基準で非課税世帯の判定を受けます。子どもが1人の場合32×2+18・9=82・9万円で、これを給与収入に換算すると約147・9万円です。(2)の所得125万円を給与収入に換算すると約204・3万円ですから、非婚のひとり親は、離婚・死別の非課税世帯のひとり親より収入が56万円低くても課税世帯となります。月給で見た場合非婚は13万円で、離婚・死別は18万で課税世帯となります。

 沖縄県では非婚のひとり親世帯は全国の1・5倍以上と全国一の出現率です。子ども支援の対象を「住民税非課税世帯」とした場合、現状ではここから漏れる子どもが確実に出てきます。

(秋吉晴子、しんぐるまざあず・ふぉーらむ沖縄代表)