<南風>小さな声伝えたい


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 「得意なことは何ですか」と聞かれ、「日焼け!」と即答してから、つくづく何の取り柄もない自分に愕然(がくぜん)とさせられます。

 子どもの頃に通ったお稽古事も、学生時代の部活動も、何をやっても長続きしませんでした。

 このコラムのお話を頂いた時、半年間、本当に書くテーマが見つかるのか不安でたまりませんでした。書くことは、自分を掘り下げる作業。掘っても何も出て来なかったらどうしよう…、とても不安な船出でした。

 ただただ、アナウンサーという仕事を身近に感じてもらえればと思い、これまでやってきた仕事を見つめ直してみると書きたいと思うことが湧いてくるじゃありませんか。

 締め切りに間に合わせるのは、元来、怠け者でニーブヤーの私には試練でしたが、でも原稿にむかうのはとても幸せな時間でもありました。それは、18年のアナウンサー人生でどれだけ素敵(すてき)な出会いがあり、どれだけの人達に支えられ時を過ごしてきたのかを改めて感じることができたから。そして、何の取り柄もない私が、ひとつの仕事を続けてこられたことで、もう空っぽじゃないと思えたから。

 この機会を与えて下さった方々、支えてくれる皆に感謝の言葉しかありません。何より、これを最後まで読んで下さっているあなた様に感謝申し上げます。

 画面で私めをみかけたら、あの人は真っ黒な胆石が出てくるほど腹黒いんだなとか、頭から納豆をかぶる息子の子育てに毎日汗だくになっているんだなとか…想像して笑っていただければ幸いです!

 「アナウンサーの仕事は、小さな声にスピーカーをあてお伝えすること」。新人の頃、先輩から教わった言葉。ひとりでも多くの方の声をお伝えできるよう、これからも得意な日焼けをして現場を駆け回っていきたいと思います。それではまた!
(平良いずみ、沖縄テレビアナウンサー)