コラム「南風」 金融都市・香港の自由度

 沖縄より南の「香港」から、南風を送りたいと思います。皆さんは、香港と聞いてどんなイメージを持ちますか? 100万ドルの夜景、道まで大きく飛び出た看板、飲茶(ヤムチャ)、ブルース・リー、アグネス・チャン、ジャッキー・チェンなどでしょうか。

 私は現在、香港の金融機関で役員として勤務し、投資・金融(企業への融資、企業進出、企業合併、新規上場等)を生業としています。その内容はおいおい触れていきますが、実は香港には、世界有数の「金融都市」という姿もあるのです。金融などと言っても分かりにくいので、お金に直接関わることで言うと、アジアで1番のお金持ちは香港の人です。そして、2番目、3番目も香港人。ちなみに1位の李嘉信(リ・カーシン)氏は、2010年世界長者番付で14位であり、約2兆円もの資産があります。このような特別な人だけがお金持ちかと言うと、そうではありません。実に「香港の家庭の8・8%が1億円以上の資産を持っている」という報告もあるぐらいです。
 こうした状況になっている最大の理由は、「自由」であるということです。香港は自由貿易港で関税がありません。他の税金も非常に負担が軽く、法人税16・5%、個人所得税15%、住民税・相続税・贈与税・消費税・酒税はそもそも存在しません。それでいて、かつて領有していたイギリスの法律の流れを組んで各種の法制度が整備され、自由と責任がバランスよく組み込まれています。
 この恵まれた環境のもと、香港には、アジア各国はもちろん、それこそ世界中からさまざまな企業や投資家が「富を求めて」集まってきます。この連載では、その最前線で体験した出来事やちょっとした裏話、さらに香港から見た沖縄・琉球についても書いていきたいと思います。
(仲村知之(なかむらともゆき)、香港在投資会社勤務)