<金口木舌>水の大切さをかみしめる


社会
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 東村の福地川ではかつて、初夏になると大人も子どももクムイと呼ばれる川のよどみでウナギとりに夢中となった。ウナギは貴重なタンパク源。「猟犬が飲み込まれた」という大ウナギ伝説もあるそうだ

▼賛否を巡り対立も起きた福地ダムの建設から49年、現在は下流の川床が浅く、クムイも少なくなった。村立山と水の生活博物館は31日まで企画展「東村のふくじ川」を開き、ダムができる前の川、人々の記録を豊富な写真で紹介する
▼各地に爪痕を残した台風6号。間借りする名護市内のアパートは停電に加え、断水も続いた。うっかり貯水を怠ったため痛い目にあった
▼小雨による給水制限が最後にあったのは約28年前である。今回、停電に伴う長期間の断水に困り果てた人も多いだろう。のろのろ台風は水のありがたさを気付かせてくれた
▼容量でみると、本島内の約9割のダムが北部に集中する。台風の豪雨で許容量を超えた水がダムからあふれる「越流」も起きた。この機会に、北部市町村が負担する水がめのことを考えてみよう。