比、残留日系人への罰金免除 訪日阻む人道問題に終止符


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 フィリピン南部ミンダナオ島ディゴスの自宅で罰金免除措置を知らされ、日本旅券を手に喜ぶ小山マルガリタヒロコさん=7月25日(共同)

 フィリピン法務省は、太平洋戦争後に同国に残され、ようやく日本国籍を回復した日系人に対し、不法滞在として出国時に科される多額の罰金を事実上免除すると決めた。日本を訪れたいと切望してきた日系人にとって深刻な人道問題だったが、戦後78年を経て終止符が打たれた。フィリピン側に配慮を要請した日本大使館が15日までに発表した。

 フィリピン入国管理局は日本国籍を回復した日系人に対し、出生時にさかのぼってフィリピンに不法滞在してきたと見なし、日本円換算で300万円に上る罰金を請求した例もあった。日本大使館が交渉に乗り出し、大使館が発行する日系人の証明書などがあれば、罰金支払いを猶予するとの指針を法務省が7月5日に出し、決着した。

 日系2世の小山マルガリタヒロコさん(82)は7月25日、ミンダナオ島の自宅を訪れた日系人支援団体の代表らから決定を説明され、歓喜した。9月6日訪日の航空券を確保し準備している。小山さんは2017年に日本国籍回復が決まり、19年1月に日本旅券を取得したが、多額の罰金が科せられると知って渡航を断念しかけていた。