放出の風評拡大、輸出減少に懸念 中国は新たな対抗措置を表明


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 政府が福島第1原発の処理水を24日に海洋放出すると発表したことを受け、水産関係者や企業からは風評の拡大や輸出減少を懸念する声が上がった。日本の海産物に全量放射性物質検査を課す規制をすでに実施して一部品目の輸出が止まっている中国は、新たな対抗措置の方針を表明。風評が広がれば他国でも規制強化が相次ぐ可能性があり、政府は漁業者が事業継続できるよう対策を拡充する。

 北海道根室市の水産加工会社「山十前川商店」は、中国向けのホタテ輸出が取扱量の約3割を占めるという。宮崎征伯社長は中国の検査強化で既に注文が減っていると明かし「人口が減る中、国内販売へ振り替えられる見通しはない」と漏らす。青森県むつ市の川内町漁協の今進組合長は、香港などへの輸出主力品のナマコについて「政府は被害が出たらしっかり補償を」と求めた。

 政府によると、中国では、鮮魚で1日程度だった通関に2~4週間かかる例も出ている。ニッスイは九州で養殖する生鮮のブリとマグロの中国輸出を休止。冷凍のホタテやサケは、最低限の量で輸出を継続している。