ボイラー製造元に4億2千万円の賠償命令 糸満市のクリーニング工場事故で 被告反論なく機器の欠陥認める 那覇地裁


この記事を書いた人 琉球新報社
那覇地裁

 ガスボイラー機器の使用中に事故が発生し従業員2人が死傷するなどした糸満市のクリーニング業の企業が、ボイラー機器を製造販売する宮崎県の会社と役員3人に損害賠償を求めた訴訟の判決で、那覇地裁(藤井秀樹裁判長)は23日、原告の請求を全面的に認める判決を言い渡した。機器システムの欠陥による事故の損害を認定し、被告らに約4億2千万円の支払いを命じた。

 被告は請求棄却を求めていたが、具体的な主張はなかった。藤井裁判長は判決理由で「被告らは請求原因事実を争うことを明らかにしないから、これらを自白したものとみなす」と判示した。

 判決によると、被告は2020年1月、機器システムを原告に引き渡したが、その時点で設計・製造上の欠陥、指示・警告上の欠陥が存在した。原告は被告が指示する用法に従って稼働させたが、21年5月と10月に炉内で爆発が起きるなどした。運転マニュアルや被告の指示には、使用法の明確な基準や適切な説明がなかった。

 原告側代理人弁護士は取材に「システムの欠陥が認められたことは大きい」と判決を評価した。一方、被告の会社と役員3人は今年、宮崎地裁都城支部から破産手続きの開始決定を受けたといい、「被った損害の賠償金をどうやって回収するかが課題」と述べた。

 琉球新報は同社の代表番号に電話をかけたが、不通だった。