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キングス植松「勝負の1年」 練習生→選手に 新契約を勝ち取る 持ち味は”しつこい守備”


キングス植松「勝負の1年」 練習生→選手に 新契約を勝ち取る 持ち味は”しつこい守備” 今季新たに契約を勝ち取り、チーム練習で汗を流すキングスの植松義也(手前)=13日、沖縄市の沖縄アリーナサブアリーナ
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 プロバスケットボールBリーグ1部の琉球ゴールデンキングスで昨季、練習生から一時選手契約をした植松義也が今季の選手契約を勝ち取って、チームに帰ってきた。少ないプレー時間ながら大事な試合で勝利に貢献した。練習生、バスケットスクールのコーチをしながら過ごした昨季を振り返りながら、「昨季のチャンスがつながっただけ。今年が本当に勝負の1年になる」と気を引き締め、今季に挑む。

 植松は2022年に練習生としてチームに加入した。チームの練習中にモップをかけたり、タオルを配ったり、ドリンクを作るなど裏方からもチームを支えた。その間にももう1人の練習生の山本楓己(現・信州ブレイブウォリアーズ)と朝早くアリーナにいって練習し、技術を磨いた。練習後にはキングスが運営するスクールのコーチとして3歳から15歳の子どもたちにバスケットを教える日々を過ごしていた。

 そんな中で22年11月下旬にチームから選手契約の話があった。契約後は少ないプレータイムでも相手ビッグマンに体を張り続けた。今年1月のファイティングイーグルス(FE)名古屋戦では、ジャック・クーリーを欠く厳しい状況だったが、植松は持ち味のしつこい守備とリバウンドやブロックで相手の攻撃の芽をつぶし続けた。契約は2月までの約3カ月だったが「一瞬でもコートに立てるのが自分のキャリアを変えるチャンスだった。FE名古屋戦の活躍は本当にうれしかったです」と笑顔で振り返る。

 3月以降は練習生とスクールのコーチに戻り、チームを支え続け、悲願のBリーグ優勝時はコートサイドで見届けた。「1年間サポートしてきたことが報われて泣いてしまった」と感慨深そうに振り返る。

 今季の契約をつかみ、オフシーズンは地元の神奈川県でフィジカル強化を中心に取り組んだ。さらに苦手という得点、特に3点弾の練習にも汗を流した。桶谷大HCは「ハッスルプレーヤーとして、チームには欠かせない。本当に必要なピースになっている」と期待を込める。

 プレシーズンマッチ、開幕戦を選手として迎える。コートで多くプレーすることだけでなく、教えていた子どもたちへの思いも強い。「つらい時期もあったが、子どもたちの笑顔に救われた。選手として次は子どもたちに夢と希望を与えたい」と柔和な表情で、選手として活躍することを誓った。

 (屋嘉部長将)