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平和の舞で不戦誓う アリラン慰霊のモニュメント 渡嘉敷 7年ぶり開催、60人集う


平和の舞で不戦誓う アリラン慰霊のモニュメント 渡嘉敷 7年ぶり開催、60人集う 慰霊祭に参列した関係者ら
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 【渡嘉敷】渡嘉敷村渡嘉敷の里原に1997年に在日韓国人2世、3世らが建立した「アリラン慰霊のモニュメント」で15日、県内外から約60人が集い、「とかしき・アリラン慰霊モニュメント慰霊祭」(主催・同モニュメントをつくる会)が7年ぶりに開かれた。歴史の真実と平和が永遠に継がれていくことを願うとともに、不戦の誓いを新たにした。
 モニュメントは第2次世界大戦末期に朝鮮半島から日本軍の「慰安婦」として「強制連行」され、犠牲となった女性や「軍夫」らを追悼し平和を祈り、この悲しい過ちを繰り返さないよう後世に語り継ぐための記念碑。沖縄戦末期の渡嘉敷島にも慰安婦7人(戦中4人死亡)、軍夫210人(死亡者不詳)が連行された。
 建立は、1991年に那覇市内の自宅で誰にも気付かれずに77歳の生涯を閉じた元慰安婦、裴奉奇(ぺ・ポンギ)さんの死がきっかけ。朝鮮人従軍慰安婦と軍夫を記録した映画「アリランのうた―オキナワから証言」(朴寿南=パク・スナム=監督)の支援者らが翌年「つくる会」を組織し建立支援を全国に呼びかけた。
 制作、建立のため島に約1年間滞在した、つくる会代表で陶芸家の伊集院真理子さん(74)=神奈川県=は「このモニュメント制作から現在に至るまで、ご尽力いただいた皆さまに心から感謝する。戦争の犠牲になった命を悼み、平和を祈り、語り、歌い、舞い、恨(ハン)を解き放とう」と追悼の言葉を述べた。
 建立の趣旨に賛同し、所有地を無償提供した元村議の故小嶺隆良さん(建立当時54歳)の妻・郁栄さん(80)は「このモニュメントは、島が存在する限り、歴史の証言者として立ち続けるだろう」とあいさつした。在日2世の歌手李政美(イ・ジョンミ)さんらの鎮魂の歌や、金順子(キム・スンジャ)さんらの韓国舞踊が奉納された。終わりに参列者全員でカチャーシーを踊り恒久平和を願った。 (米田英明通信員)
朝鮮人慰安婦と軍夫の御霊を慰めようと、韓国舞踊を奉納する金順子さん=15日、渡嘉敷村里原のとかしき・アリラン慰霊のモニュメント
慰霊祭に参列した関係者ら