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『ヒッチコック/トリュフォー』 名監督による、珠玉のヒッチコック講座

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 『大人は判ってくれない』などで知られるフランス人監督のフランソワ・トリュフォーによるアルフレッド・ヒッチコックへのインタビューを収録した「定本 映画術 ヒッチコック/トリュフォー」。映画監督志望の若者たちに今もバイブルとして読まれているこの本を題材にしたドキュメンタリー。当時の貴重なインタビュー映像、ヒッチコック作品の名場面に加え、マーティン・スコセッシ、デビッド・フィンチャー、リチャード・リンクレイター、ウェス・アンダーソン、黒沢清ら10名の監督へのインタビューとともにヒッチコックの魅力を改めて見つめなおします。

 現代の映画界を支えている名監督たちも、ヒッチコックの作品を語るときは映画少年のように目を輝かせながらその魅力を熱く語ります。数々の映画が登場しますが、当時失敗作と酷評された『めまい』について、あのスコセッシ監督ですら「神業!」という言葉を連発し、フィンチャーが「潜在意識の核心をえぐった彼の最高作だ。当時からハリウッドは興行の成績で作品の良しあしを決めていたんだ」と話す姿がとても印象的。素晴らしい監督たちによる、熱のこもった「ヒッチコック」講義を聞いている気持ちになれました。

 1週間にわたって毎日ぶっ続けで行ったというだけあって、当時30代の若いトリュフォーの歯に衣着せぬまっすぐな質問に対して本音たっぷりに答える60代のヒッチコックの素顔も面白い! すごい監督らしいことを言ったかと思えば、「あの女優、せっかくいい作品を用意していたのに妊娠なんてしやがって、馬鹿女が!」って悪態をついたりと、すごく人間的。あ~こんなインタビューができるような記者にあたしもなれたらいいなあと思います。これまでヒッチコック作品を観たことがなかったひとにこそ観てほしいです。★★★★★(森田真帆)

監督:ケント・ジョーンズ

出演:マーティン・スコセッシ、デビッド・フィンチャー、リチャード・リンクレイター

12月10日(土)から全国順次公開


(共同通信)