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『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』 男子目線に徹した物語

 (C)2016「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」製作委員会

 ティーン女子の願望を形にした少女漫画の映画化が、日本映画にひとつのジャンルを確立した感がある。この映画もその一環に見えるが、原作は七月隆文のライトノベルで主人公はあくまでも男の子。ラスト直前まで彼の目線で物語が進むことが大きな効果を上げている。

 京都を舞台に、美大に通う20歳の主人公と、彼が一目ぼれした同い年の女の子の恋が、切なくもミステリアスに語られる。要は『なぞの転校生』『リアル鬼ごっこ』などと同じで、ティーン向けにはもはや使い古されたパラレルワールドものなのだが、男子目線に徹したことにより、タイトルの意味が分かった時はさすがにうならされた。意外にも教訓的な話なのだ。主題は「他人の思いやりに対する気付き」。ジャンル映画に仮託して教訓や社会メッセージを描くのは、映画の正しいあり方でもある。

 ただし、青春映画のアイテムをこれだけちりばめながら、画面が少しも“映画的”にならないのはなぜだろう? それを解く鍵も男子目線にある気がする。ラストの反転である。ミステリーがあくまでも小説のジャンルであって映画のジャンルになり得ないのは、最後に謎解き=回想が入るから。映画にとって繰り返し(リフレイン)は有効な手法なのに、似て非なる回想=フラッシュバックは映画をぶち壊す危険な手法だと、改めて思い知らされた。★★★☆☆

監督:三木孝浩

出演:福士蒼汰、小松菜奈

12月17日(土)から全国公開


(共同通信)