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『太陽を掴め』 監督と若手俳優たちの熱量にヤケドする!

 (C)2016 UNDERDOG FILMS

 『太陽を掴め』なんて、ずいぶんアツいタイトルのこの作品は、ある者は夢を追いかけ、ある者は絶望し、ある者はただ流される。そんな都会に生きる若者たちの日々を描いた群像劇。多摩美術大学の卒業制作として手がけた作品『雲の屑』が東京学生映画祭でグランプリと観客賞をダブル受賞した日本映画界期待の若手監督、中村祐太郎の劇場デビュー作です。

 今年の東京国際映画祭、日本映画スプラッシュ部門で上映されたとき、この作品の持つ熱量にただただ胸をワクワクさせてしまいました。最近どんどん面白くなっている日本映画界がこれからもっと面白くなる予感がしたからです。

 実は撮影が始まるずっと前に、渋谷センター街にある喫茶店でスタッフらしき若者たちとともに、脚本会議をしている中村監督と遭遇したことがありました。その場に偶然知り合いがいたので声をかけると、「ぼくらこれから映画を作るんです!」とキラキラした目で語りかけてくる。タイトルは『太陽を掴め』、いいなあ、青春だ! それからわたしは、この作品の完成を、首を長くして待っていたのです。

 若手俳優と監督たちが日本映画界に向けてやったろうじゃねえか!という気合を入れて撮っているアツさと本気が、スクリーンから伝わってきました。ロックバンドのボーカルを務める主人公・ヤット役の吉村界人は、まだまだ無名の役者ですが、どことなく危うげで、触れたら壊れてしまいそうな繊細さと、芯の強さをたたえた眼差しはとても印象的。まるで絶叫しているかのようにエネルギッシュで生命力に満ちたヤットのライブシーンは、一秒たりとも目が離せません。この映画に出演したすべての俳優たち、そして中村監督が、今後どう成長していくか、期待を込めての星四つデス。★★★★☆

12月24日(土)より全国順次公開

監督:中村祐太郎

出演:吉村界人、浅香航大、岸井ゆきの


(共同通信)