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『ワイルド わたしの中の獣』 ヒロインを自由に解き放つのは、男じゃなくて野性の狼!

 (C)2014 Heimatfilm GmbH + Co KG

 全裸で座る女性の股間に近づく狼。その映像はとてつもなくショッキングですが、映画の内容はその映像をさらに上回る衝撃的な内容でした。でも、「狼に恋するなんてありえない! 怖っ」という気持ちだけではない、憧れに近いひそかな欲求が鑑賞後にわたしの心に芽生えました。

 ヒロインのアニアは、空虚な現代社会に生きる孤独な女性です。毎日、会社と自宅を往復するだけの日々で、みずから人と交わることもない。そんな生活のなかで、かの女はある日家の近所の森で狼に出会います。なんだか歌の「森のくまさん」みたいな展開ですが、そこで彼女は狼の瞳に宿る「野生」に強烈な官能を感じます。

 「なんとか彼を手に入れたい!」とばかりに、ハンターと化し、最終的にこの狼を捕獲! そこから冒頭の衝撃的なシーンへとつながっていきます。狼によって新たな快感を得るアニアですが、彼女は次第に自分のなかの野性味を目覚めさせていきます。狼を人間としての生活に引き込もうとするのではなく、逆に動物の野性的な世界へと順応していくアニアは、がんじがらめになった現代社会から丸裸になって解き放たれます。だいたい、解放されるきっかけが奔放な女友達でもワイルドな男でもなく、野性の狼なんだからびっくりですね。

 狼とのシーンがすべて実写だそうで、ヒロインの女優さん、すごいなあ。もちろん狼に恋することはありませんが、狼のように野性的に生きる彼女の姿に、いつも周りの人の顔色を伺って行動してばかりのわたしは、動物的に行動するようになるヒロインを見て羨ましい気持ちになりました。ああ~、ワイルドになりたいぜ!★★★★☆ 森田真帆

監督・脚本:ニコレッテ・クレビッツ

キャスト:リリト・シュタンゲンブルク、ゲオルク・フリードリヒ

12月24日(土)より全国順次公開


(共同通信)