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『YOKO FUCHIGAMI IGIRISU 世界のYOKO OFFICIAL BOOK ♯BLACK』YOKO FUCHIGAMI著 図らずも浮き彫りになるプロフェッショナル

 

 YOKO FUCHIGAMI--1957年生まれ。トータル・ファッション・アドバイザー。「YOKO FUCHIGAMI」デザイナー。日本服飾協会理事長……って誰や。はい、今呟きましたね。聞こえましたよ心の声。そんな全国のお父さんに本書をご紹介したく存じます。

 えー、本書はですね……。んー。これ知らない人にどっから説明したらいいんだ?

 端的に言うとYOKO FUCHIGAMIっつーのはあれです、架空の人物です。この世には、いない。どこ探してもいない。いるのはロバート秋山という芸人だけ。彼が様々なクリエイターになりきってインタビューを受けるシリーズ「クリエイターズ・ファイル」。YOKO FUCHIGAMIは秋山が扮するキャラクターなのです。

 YouTubeの再生回数が、多いもので250万回超とかなりの人気を誇るこのシリーズ。本書はその主要人物であるYOKO FUCHIGAMI初のオフィシャルブックというわけです。

 仕様は宝島社の十八番である、付録がメインなんだか書籍が主役なんだかわからない、分厚くそして軽い件のムック。ショルダーバッグとヘアバンド、そしてYOKO FUCHIGAMIのインタビュー記事が掲載された冊子によって構成されている。

 印象的だったのが全体を通して「なーんちゃって」という表現が一切ないこと。「っていう面白いことをロバート秋山がやってますよ」的視点は排除され、一貫してYOKO FUCHIGAMIというデザイナーのオフィシャルブックとして成立させている。わかる人にはわかるその面白さは、ともすれば内輪受けになりがちだけど、それともちょっと違う感じ。なんでだろ。YouTubeですぐに共有できる間口の広さがベースになっているからかな。そうか……インターネットでなんでもかんでもシェアできるようになった昨今、もしかしたら「内輪受け」なんて言葉は死語なのかもしれないですね……。と、図らずも笑いのコミュニケーション、情報共有について思いを馳せてしまいました。

 ちなみに、余談ですが宝島社お得意の付録はというと……めっっっっちゃパッとしない(笑)。ダサいわけでも尖りすぎてるわけでもなく、超普通。なんでよ。こだわりゼロなのが見え見えなんですけど。絶対に持って歩きたくないんですけど(笑)。しかもすんごい頑丈そうだし、バッグ。耐久性とかいいから~。どうせ半年過ぎたらみんな飽きるんだから~。

 もう! 秋山はYOKO FUCHIGAMIとしてやり切ってるのにさ! 金がないなら知恵使うとか、なんかもっと、あったんじゃないの!? フンガー!……すみません熱くなりすぎました。

 そういった意味で、気付けばロバート秋山のプロフェッショナルな姿勢が浮き彫りになってしまった本書でしたとさ。てなわけで全国のお父さん!ロバート秋山の「クリエイターズ・ファイル」未見でしたらYouTubeでぜひ! 新しい笑いの形がそこにありますよ。

(宝島社 1500円+税)=アリー・マントワネット



(共同通信)