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「DVD=2」 大貫妙子『シンフォニックコンサート2016』 美しい、余韻の間をただよう時間

 大貫妙子『シンフォニックコンサート2016』

 意外にも、自身初となるシンフォニックコンサートだそうだ。編曲・指揮に千住明、演奏には東京ニューシティ管弦楽団を迎えたほか、かねてより大貫のサポートを務めるフェビアン・レザ・パネ、林立夫らもサポートに加わるという豪華な布陣。東京で、一回限りというプレミアもののこのコンサートの模様を収めた一本だ。

 圧倒的に美しい大貫の声はしかし、決して均一なものではなく、楽曲ごとに多面的に表情を変化させる「振れ幅」をも持ち合わせているんだーー。オーケストラというベースのうえに展開されるライブだったからだろうか、本作ではとくにそんなことを感じた。『黒のクレール』や『RAIN』などでは、都会的な女性の魅力を、『ピーターラビットとわたし』ではファンタジーにあふれたやさしい夢の世界を、その歌声で感じせてくれる。大貫妙子という一人の女性が歌っていることはもちろんわかるのに、湧き上がる感情も、目の前に立ち現れる風景も、こんなにも違ってくるなんて。すごい。

 そして最後の楽曲、『Shall We Dance?』。ふわり美しい音の結晶を投げかけるような大貫の歌声、余韻と余韻の間をいつまでも彷徨っていたくなる名曲だなあと改めて思う。しかも、オーケストラの演奏。こればかりは、生で目に耳にした人がうらやましくなってしまうが、DVDも録音環境が素晴らしく、存分に楽しめた。

(ポニーキャニオン・6000円+税)=玉木美企子

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(共同通信)