翁長県政1年 新基地、重大局面に 承認取り消しで国と法廷闘争


この記事を書いた人 志良堂 仁
就任1年を振り返る翁長雄志知事=9日午後、県庁

 翁長雄志県政が発足して10日で1年を迎えた。昨年の県知事選で最大の争点となり、翁長知事が「県政運営の柱」と掲げる名護市辺野古の新基地建設阻止について、翁長知事はことし10月、前知事による埋め立て承認の取り消しに踏み切った。政府側はこれに対して承認取り消しの効力を凍結する執行停止をした上で、新基地建設工事を続行している。また政府は11月17日、知事に代わり承認取り消しを撤回する代執行訴訟を提起した。対する県側も国による承認取り消しの執行停止は違法だとして、今月末にも国を相手取り抗告訴訟を起こす。新基地建設をめぐり国と県双方による法廷闘争に突入する重大局面に入っている。

 「あらゆる手段」で新基地建設を阻止するとする県側は、今後も埋め立て承認の取り消しに続く承認の「撤回」なども視野に、法的権限を駆使して工事を阻止する方針。権限行使の他、翁長県政は米首都に県ワシントン事務所を開設したり、知事の国連演説などを行ったりし、国内外の世論に働き掛けて政治的にも新基地建設を行き詰まらせる狙いだ。政府側が工事を強行する中、新基地を造らせないとした公約の実現に向けた総合的な戦略が問われる。
 景気対策では、ことし10月の県内有効求人倍率は0・89倍で前年同月比0・13ポイント増、復帰後最高に達した。県内完全失業率(原数値)は4・9%で前年同月と同率の水準。有効求人倍率はこの1年、増加傾向が続いているが、雇用のミスマッチ対策などが鍵となる。
 翁長知事は着任1年を迎えるに当たり、4日の県議会答弁で「知事選で掲げた公約については95%以上着手できた」と述べた。着手率は順調に推移しているといえるが、残り3年の任期ではその具体的な進捗(しんちょく)が問われることになる。
 財政面では県はことし9月に2014年度の決算を取りまとめたが、同予算の大部分は前県政が策定したため、県は単純比較は15年度決算が出る来年秋ごろまでは困難だとしている。