知事、月末にも国提訴 辺野古執行停止 係争委決定に不服


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国地方係争処理委員会の却下決定を不服として、提訴することを発表する翁長雄志知事=19日午後4時半すぎ、県庁

 翁長雄志知事による名護市辺野古の埋め立て承認取り消しをめぐり、国地方係争処理委員会が県の不服審査申し出を却下したことを受け、翁長知事は19日午後、県庁で記者会見を開き、国を相手取って福岡高裁那覇支部に提訴することを発表した。翁長知事は「委員会は国交相の執行停止の違法性について実質的な判断をせずに却下決定に及んでいる。この点に不服があり、訴えるべきだと判断した」と理由を述べた。

 辺野古新基地建設問題に関し、国による代執行訴訟と県による抗告訴訟がすでに提起されており、今回の県の提訴表明により、県と国が三つの裁判で争う異例の事態となる。
 係争処理委の決定通知から30日後の2月3日が提訴期限と定められており、県は1月末か2月冒頭に提訴する方針だ。
 国地方係争処理委員会の結論を不服として、地方自治体が裁判を起こすのは今回が初めて。
 県は今回の訴訟で、国交相の執行停止決定を取り消すよう求めていく。県弁護団によると、国交相による執行停止の違法性の有無が主な争点となる抗告訴訟に対し、今回の訴訟は沖縄防衛局が「固有の資格」で承認取り消しを受けたかが主な争点になる。
 翁長知事は「国と地方自治の在り方をしっかり捉えてやらないと将来に禍根を残す。けじめをつけないと、今日までの歴史的な経緯がこれから以降も長く沖縄に負担としてつながることになる」と提訴の意義を述べた。
 県は2015年11月2日、翁長知事の埋め立て承認取り消しの効力を止めた国交相決定の適否判断を求めて、国地方係争処理委員会に審査申し出を行っていた。係争委は「審査対象に該当するとは認められない」として、同12月28日付で県の申し出を却下した。