鍋持って腰ねじろう キッチンフィットネス


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 水を入れた両手鍋を持って腰をねじれば、腰回りの脂肪の引き締めに。ダンベル代わりに大根を手に持ち、高く上げ二の腕をシェイプアップ。楽しく体を動かしながら料理をしてほしいと、沖縄大学の宮本晋一教授(老年学)が、食事作りと運動を組み合わせた「キッチンフィットネス」を独自に考案し、普及に取り組んでいる。

 献立の名前から連想する動きや、食材や調理器具を活用してできる運動が特徴だ。血液の巡りが良くなるように、ストレッチと筋肉をほぐす運動を取り入れている。
 宮本教授は、県民の平均寿命が男女ともトップから後退した背景に、肥満者の多さや働き盛り世代の生活習慣病による死亡率の高さがあると指摘する。「適正体重を維持するために、食生活や運動を見直し、健康的な行動が取れるように取り組んでほしい」と熱っぽく語った。
 「キッチンフィットネス」は約60種類の献立に応じた運動法を盛り込んだ。1セット2~3分間で、キッチンの狭いスペースでも気軽に始められる。
 例えば「すじ煮込み」を作る時は「腱(けん)のストレッチ」を取り入れ、首筋と腕や肩、腰と内ももをゆっくり伸ばしていく。「もも肉のステーキ」では太ももを強化する動きを提案。「とんかつ」をメニューに取り入れる際には、肩を「トントン」とたたいてコリを解消する運動を勧めている。
 体の引き締めや筋力アップだけでなく、美容の視点も取り入れ、おつまみで「もろきゅう」を添える時には、2~3枚顔に貼り付けると、小じわの解消になるとつづっている。「キッチンフィットネス」のテキストには食材の栄養成分も記している。
 同大学健康スポーツ福祉専攻2年生の松田夕貴さん、仲村渠葵里子さん、渡口理央さんが「キッチンフィットネス」に挑戦した。両手鍋を手に腰をねじる運動を繰り返した後、「体が熱くなってきた。思ったよりも運動になる」と渡口さんは話す。
 宮本教授は「日々の積み重ねがあれば、太りにくい体に変わっていくと思う。運動が習慣になったら健康長寿につながると思う」と期待を寄せた。
文・高江洲洋子
写真・屋嘉部長将

<メモ>
 「キッチンフィットネス」から二つのプログラムに挑戦してみよう。琉球新報ホームページの「動画マーク」から入って運動開始!
 「もつなべ」は、鍋料理の日にお勧めの運動だ。両手鍋を持ち、こぼさない速さで顔を正面に向けたまま腰だけねじっていく。1日50回続けて、すっきりした脇腹を手に入れたい。
 「コロッケツ」は、お尻を引き締める運動。お尻全体を両手でマッサージした後、あおむけになって手をいすに突き、お尻に力を入れたまま上げていく。立ち上がり、手をいすの背もたれに添え、背筋を伸ばした状態で片足の膝を曲げて前に上げ、後ろに蹴り上げる。一連の運動は各8~10回。