(4)はいさい/使う時に注意を

 電話での「もしもし」をうちなぁぐちで言うと?

 「もしもし」と言ううちなぁぐちはなく、私は「はいさい」をそれに代わる言葉として使っている。


 ちなみに女性言葉では「はいたい」と言う。この「はいさい」は「どうも」ぐらいの軽い挨拶(あいさつ)だと言える。この「はいさい」は相当な市民権を得たように見えるが、使う時には少し注意が必要だ。


 私は以前、誰に会っても「はいさい」を連発していた。しかし、ある日お年寄り数人に嫌な顔をされたことがあった。


 なぜか分からずにいたある日、首里汀良町の士族の子孫で大正9年生まれの方にはっきり言われた。


 「はいさい、と言う言葉は平民の言葉で士族に使うととても無礼になる。今でも首里にはたくさんの士族の子孫が住んでいらっしゃるから言葉は気をつけた方が良い」と。


 驚きだった。


 そうか、うちなぁぐちは身分制度の影がまだ色濃く残っているんだなとその時初めて悟った。


 でもそう言われても「はいさい」と言う言葉は確かに挨拶言葉として使っているのは事実だ。じゃあどこの地域だろうと思い、まずは身近な南風原の喜屋武で80代の方に聞いてみた。


 そこでは「はいさい」とは使わず目上に対しても「はい」としかあいさつしないそうだ。男姓は「さい」、女性は「たい」と言う敬語は喜屋武ではほとんど使わないとのこと。


 それではと思い今度は那覇の大正5年生まれの方に聞いた。


 「はいさいは目上にあいさつする時に使いなさい」と言う。


 うーん、悩むが、つまり、首里では使えない。しかし那覇では使え、さらに喜屋武では使っていないということか。


 でもどうやって初対面で出身地を見分ければ良いのだろう?


 もうそれからは、とにかく最初に「まーから、めんそーちゃがやー(どちらからいらっしゃいました)」と聞くようにしている。

(比嘉光龍(ふぃじゃばいろん)、ラジオ沖縄「民謡の花束『光龍ぬピリンパラン日曜日』」パーソナリティー)




琉球新報