社会

車の血 米兵気付く 「はねた認識ない」 読谷ひき逃げ事件

取り調べの録音などを求めた高江洲歳満弁護士=13日午後1時45分ごろ、那覇地方検察庁前

 読谷村楚辺のひき逃げ事件で、参考人として県警の調べを受けている在沖米陸軍の2等軍曹の男性(27)について、男性の弁護を担当する高江洲歳満弁護士は13日、運転していた普通乗用車に血が付いていたことを男性が気付いていた一方で「人をはねた認識はない」と話していることを明らかにした。

飲酒の有無や当日の詳しい行動などは明らかにしなかった。同弁護士は同日、日本の捜査方法が公平でないという理由で、那覇地検に対し取り調べの全面録音・録画(可視化)を申し入れた。
 可視化や弁護人の立ち会いが実現するまでとして、男性は弁護士に従い、13日の任意の調べから供述拒否権を行使しているという。
 高江洲弁護士は、アメリカにいる男性の父親から依頼を受け、12日夜に男性から話を聞いた。13日午後にも男性の弟が米陸軍法務官に伴われ、浦添市の同弁護士の法律事務所を訪れた。
 男性は高江洲弁護士に「土曜日の明け方に家に帰って寝た。午後2時ごろ起きたら車が壊れ、血も付いていたので工場に行った。もし人をひいたのなら、車を工場に持って行ったりしていない」と説明しているという。男性は修理工場に車を持ち込んだ時「木にぶつかった」と説明していた。
 高江洲弁護士によると、男性は任意聴取で県警が作成した供述調書について、読み聞かされた際に「ニュアンスが違う」と抗議したが「(あなたが)話したことが書いてある」と言われたという。
 陸軍法務部から県警の調書作成に協力するよう言われたこともあり、調書に署名した。高江洲弁護士は今後の取り調べに対し供述拒否権を行使するよう助言し、男性も同意したという。
 供述拒否権の行使は、被疑者に認められた権利で、供述拒否のみを理由にして逮捕することはできない。
 高江洲弁護士は、接見した際の男性の拘束状況について「トリイ通信施設内で割り当てられた部屋に住み、外出は禁止。移動についても報告するようにと言われている」と説明した。
 県警は、現段階で容疑者を特定しておらず、男性について書類送検や身柄の引き渡しを求める方針は決めていない。

<高江洲弁護士 一問一答>飲酒の有無聞いていない
 県警が参考人として事情を聴いている米兵男性の代理人を務める高江洲歳満弁護士は、男性が掛けられている嫌疑について「合理的な疑いが十分にある」と強調。取り調べの可視化を訴えた。以下は一問一答。
 ―事件について。
 「『人をひいて死に至らしめた認識はない』と話している」
 「死体発見までに相当時間がたっているし、別の車にひかれて死亡したという合理的な疑いは十分ある。司法解剖された遺体の状況と、車両の状況などを詳しく調べるべきだ」
 ―飲酒は。
 「飲酒していたかどうかは聞いていない」
 ―事務所に米軍関係者が来ていたが。
 「法務官と共に男性の弟があいさつしに来ていた。『兄がはねたとは思わないが、もしそうなら被害者遺族に対しどんな方法で謝罪したらいいか』と、こちらのしきたりを聞いていた。もし兄の陸軍兵がはねたのなら、きちんと賠償していこうという誠意が感じられた」
 ―供述拒否権を行使した場合、県警が逮捕要件に当たると判断して起訴前の身柄の引き渡しを要求するのでは。
 「それは構わない。身柄の引き渡しをする、しないは日米地位協定の問題ではなく、密室で取り調べを行う日本の捜査当局への信頼の問題。密室での取り調べは米国で『拷問の名残が残る歴史的遺物』ととらえられている。公正な取り調べのために、可視化や弁護士の立ち会いを進めるべきだ」