社会

戦前、那覇で運行 路面電車“幻”の切符・定期券入手

路面電車や軽便鉄道の資料を数多く集めている照屋重男さん=9日、北谷町

 沖縄の貴重な紙資料などを収集している自営業の照屋重男さん(56)=北谷町=は21日までに、戦前の1914年から20年近く県内を走っていた路面電車の切符や定期券などを入手した。県内の鉄軌道に詳しいエッセイストのゆたかはじめさんは路面電車が短い期間しか運行していなかったことに触れ「切符はなかなか見られない。かなり珍しい」と驚き、照屋さんとともに「これまで公表された実物は見たことがない」と話している。

 沖縄の路面電車は14年5月に開業した。同年12月に開業した軽便鉄道よりも7カ月早く県内を走っており、沖縄初の公共交通機関といわれている。当時の路面電車は那覇市首里から坂下、崇元寺、西武門などを経由し、通堂までの約6・9キロを結んでいた。県内にバスが普及したため、33年に運行を休止した。
 照屋さんが入手したのは路面電車の回数券や定期券、学生用の乗車券、車両が写った絵はがきなど多数に上る。このほかにも軽便鉄道の時刻表や切符も持っている。
 これらは全て県外の骨董(こっとう)品店やオークションなどで見つけたという。
 小学生のころから切手収集をしていた照屋さんは、20年ほど前から路面電車や鉄道関係の物品を集め始めた。「なかなか見られない珍しいものだ」と感じながら収集を続けるうちに、切符や写真などが多くそろったという。照屋さんは「今後は与那原と泡瀬などを結んでいた軌道馬車の切符や、路面電車の時刻表を探したい」と話している。
 ゆたかさんは「沖縄戦まで運行した軽便鉄道の存在は広く知られているが、沖縄に路面電車があったことは、運行していた期間が短かったため、あまり知られていない」と説明。路面電車の切符について「これまでコピーを見たことはあるが、本物は初めて見た。とても貴重なものだ」と話した。
(平安太一)

英文へ→Collector acquires tickets and commuter passes of a street-car that operated in Okinawa in the prewar period




琉球新報